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(加納 愛/ブランディング&事業開発部、アソシエイト・ヴァイスプレジデント) こんにちは、カクタスのブランディング&事業開発部の加納です。 社内では研究者向けのブランド、エディテージのマーケティング、広報、ブランディング、サービス開発に関わっています。そして顧客向けには、大学・研究機関や学協会を中心に、研究の国際広報セールス兼コンサルタント、クリエイティブディレクターとして活動しています。…ややこしいですが、簡単に言ってしまえば社内・社外問わずのいわゆる便利屋さんです。 業務が多岐に渡り常に異なる仕事をしているので、社内でも昔馴染みの同僚に「最近のあなたは何者?(What are you, lately?)」と聞かれることもしばしば。その時々で 「今はクリエイター」「今月はコンサル 」「最近広報がメインかな」なんて答えていますが、今も昔も、自分のコアはマーケターだと思っています。むしろマーケティングというコアが、すべての仕事の骨組みになっていると実感しています。 そして、もう少し言うと、日本のアカデミア業界、特に大学・研究機関には、組織の経営においてもっともっとマーケティング的な考え方が必要なんじゃないのかな、と感じています。 そこで今日は「マーケティングって市場開拓でしょ?」「単なる企業の商品流通戦略でしょ?公的機関に近い大学や研究機関、ましてや非営利の学協会には関係ないよ」という方に、基本的なマーケティングの考え方はどんな組織の広報活動にもあてはまるという話をしたいと思います。 まずは 「アメリカ・マーケティング協会(AMA)」が2013年に提案したマーケティングの定義をご紹介しましょう。 マーケティングとは? Marketing is the activity, set of institutions, and processes for creating, communicating, delivering, and exchanging offerings that have value for customers, clients, partners, and society at large. 「 マーケティングとは、消費者、顧客、パートナー、および広く社会にとって価値のある提供物を創造し、伝達し、流通させ、交換するための活動、一連の制度、およびプロセスである」 この定義にも「広く社会にとって価値のある提供物を想像し、伝達し、流通させ」とあるように、マーケティングは必ずしも商品やサービスの販売に関わるものではなく、あらゆる種類の価値を生み出す、すべての組織に必要なものだと私は考えています。 当然、人類の文明・文化に価値のある知識や技術を生み出している大学や研究機関には必要な機能です。 企業においては、マーケティングは経営企画、サービス・製品開発、流通から顧客理解まで、企業の価値作りの上流から下流までを網羅する幅広い仕事です。カクタスは特にマーケティングに強い会社で、その考え方が社内の意思決定の中心を担っています。社内プロジェクトでも、クライアント・プロジェクトでも、仕事の大小に関わらずプランニングの段階で必ず最初に押さえなければならないごく基本的な3つの質問があります。 「達成したいゴールはなにか?成功を評価できる数値ターゲットはあるか? 」 「行動や意思決定に影響を与えたいターゲットはだれか? 」 「アウトリーチの母数は?リード率は?期待するコンバージョン率は?」 もちろんこれがすべてではありませんが、少なくともこの3点をクリアしていれば、闇雲に買われもしないサービスや誰にも読まれもしない情報を提供することに余計なコストと労力を使うことはなくなります。これを大学のマーケティング活動の実務の例にあてはめて考えてみたいと思います。 […]
(湯浅 誠/カクタス・コミュニケーションズ株式会社 代表取締役) 「やらない事を決める?」 「やる事を決めるでしょ?!」 と皆さん思われるかと思います。新しい事をやりたがらない組織にとっては「次の成長に向けて新しい事をやらなければいけないが、アイディアがない。何をやるべきか考えなければ!」と、まず「何かやる事を決める」のが大切だと思いますが、このご時世その様な呑気な状況に置かれている企業さんはあまりないのではないかと思います。 私が個人的に注目している企業の共通点は、常に新しい事に挑戦している事です。次から次へと新サービスを発表している、そういう企業は外から見ると華やかに見えると思いますが、実際は失敗に失敗を重ね、それでも諦めずに挑戦し続けた結果だと思います。 弊社も「新しい事に挑戦しよう」とする意思だけはとにかく強いです。その意思が時に全く思ったように活動に繋がらず歯がゆい思いをする事もありますが、社内では「常に新しい事に挑戦しないとダメだ」という空気はある程度あると思います。 第二四半期が終わりましたが、毎期末に行う「Quarter review」と次期の目標設定における私の課題は「何をやらないかを決める」事です。なぜか?課題は無数にあり、やりたい事は次から次に出てくるからです。「あれもやろう、これもやろう」「これ全部できたら確実に目標達成だー!」と、やる前が皆一番モチベーションが高いです。創業から15年経ってサバイバル時代を越えたいまでもビジネスを勢いで進めてしまうカクタスグループでは、この様な「あれもこれもミーティング」がもう何年も続いています。前向きでエネルギーがあり、それはそれでいいのですが、大きな問題があります。それはプランの時に思い描いた通りには実現ができていない事です。具体的に何が起きているかといいますと、次のような感じです。 1. 四半期レビューの際に、思うような結果が出ておらず焦る 2. 次期での巻き返しのため、実現できそうにないアグレッシブな目標を設定する 3. 「皆でやれば何とかできる!」と一致団結して壮大なプランを作成してしまう 4. その結果やるべきタスクが大量に発生する 5. タスクが多すぎて、インパクトの大小を加味せず簡単にやれそうなタスクを優先してしまう 6. 翌期のレビューの際に、重要なタスクが実際は半分しか達成されていない事に気付く。また売上目標も未達 同じ事が当てはまる方も結構いるのではないでしょうか。またこれはプランを全て実行できない問題のみならず、「大して効果のないプランを実行しており、本来確実にやるべきだったことができなかった」という危険な事態も招きます。 活動プランを作成する際にタスクの優先順位をつけたのにもかかわらず、日々のオペーレーションの中で労力が必要なタスクは後回し、すぐできるタスクを先に片づける傾向はほとんどの人に見られます。私もつい行ってしまいがちですが、これは完全な間違い。労力で順位をつけるのではなく、活動のインパクトを予測して、最大限の効果が見込める事を優先的に行う必要があります。その場合、インパクトが同じで労力が少なくてすむタスクがあれば先にこなし、労力が高いタスクはその後に行えばよいです。もちろん予想が大幅にはずれる事はよくあります。しかしこの予測を事前に行わないとタスクの優先順位がつけられず、ランダムな活動で正しいレビューが行えません。 今までの失敗から最近はさすがにいくつか学び、最近はタスクをインパクトで評価し、取捨選択するようにしています。具体的にはレビューの際に当期に行ったどの活動がどの位ビジネスに貢献したかを可能な限り細かく分析して、効果が全くなかったものはどれほどいいアイディアに見えても一切止める。期中に出て来た課題に対しては、課題を詳細に分析し、問題の原因をばらばらにして、各原因を解決できるであろう小さいタスクに落とし込む。そのタスク一つ一つを見て想定されるインパクトと労力を算出して、あまり効果が期待できないものは削除するか、「時間があれば行う」リストに入れる。 こうして「効果が期待される、やるべきことリスト」ができ上がるのですが、そのままプランを決定してはいけません。1日寝かせて翌日にもう一度チームとミーティングを行い、客観的な目でリストを確認し直すのです。「本当にこれが今の課題解決に繋がるタスクリストなのか?本当は必要のないタスクはないか?本来やるべきタスクが漏れてはいないか?」と細かく疑問を呈し、本来やるべきものを確実に実行するために 「やらないことを決める」ことが大切です。 上記のプロセスを3~4回経て、プランを練り上げます 。そしていざ活動開始。ところが開始から1ヶ月経っても思うような数字が出ていない場合や、計画段階で課題だと思っていたこととは異なる課題が発生することがあります(それも結構頻繁に)。そんな時にはプランになかったタスクを追加しなければなりません。このキャパがなく、いつもかつかつで活動していると、肝心のビジネス・クライシス の際に大した事ができません。その時には、もともとあったプランを見直し、今のビジネスの状況にあわせてさらに「やらないことを決める」のです。 今の方法がうまく行ってるかどうかは正直まだ試行錯誤中ですが、この「やらないことを決める」を決定者である自分が意識的に行うようになって、今までのように「あれもこれもやろう」で貧乏暇なしの状況からは若干抜け出したかなと思います。 ただし社員に注意して欲しいのは、「やらないことを決める」といっても「これはやりたくないからやらない」というものではありません(笑)。何が重要なタスクで、それがどうビジネスに繋がるかという分析の結果「やらない事」が出てくるものであると思います。 プランの精度をさらに上げるためには、現状のビジネス課題に対する客観的データの収集と、タスクのインパクトの事前予測の力を、ビジネスを担うスタッフ全員がつけていく必要があります。ここはまだまだ、まだまだ課題ですが、この先1年で解決していきたいと思っています。社内にはかなり多岐に渡るデータが蓄積されており、また収集の精度も少しずつあがってきているので、マーケティングチームには是非このデータを駆使して、適格な分析を行ってもらえればと期待しています。
エディテージを運営するカクタス・コミュニケーションズ株式会社(本社:東京都千代田区、社長:湯浅誠、以下「カクタス」)は、株式会社日経BP(本社:東京都港区、社長:新実 傑、以下「日経BP社」)と連携し、医師・医療従事者に向けた新サービス「メディカル英語論文作成・投稿サポート」の提供を2017年9月28日に開始しました。 この新サービスは、日経BP社が運営する医師・医療従事者向けの会員登録制(無料)医療情報ポータルサイト「日経メディカル Online」の会員に提供します。カクタスが運営する研究者支援サイト「エディテージ」で医師・医療従事者に特化した新サービスを立ち上げ、日経メディカル Online会員であれば初回見積もり時からわずか3ステップで新サービスの利用登録ができる仕組みを整えました。 <メディカル英語論文作成・投稿サポートの特徴> 新サービスの「メディカル英語論文作成・投稿サポート」は、多忙な医師・医療従事者が論文を作成・投稿する際に感じている4つの悩みを解決するサービスで構成されています。 【悩み・その1】研究データはそろっているが、英語の論文にまとめる時間がない →著者の負担を減らすフルサポートサービス「メディカル論文執筆サービス」 著者から提供される臨床・研究データと分析結果、論文骨子を元に、プロのメディカルライターが論文の原稿を作成。投稿に必要な書類の準備から投稿作業までを代行します。 【悩み・その2】日本語で論文は書いたが、英語に書き直す時間がない →未発表の論文を英語に翻訳。投稿可能な状態へ「メディカル翻訳+校正サービス」 日本語で書かれた未発表の論文を英語に翻訳。投稿先の規定にあわせて調整を加え投稿が可能な状態にします。 【悩み・その3】自力で英語論文は書けたが、相談できるネイティブスピーカーがいない →医学の学位を持つネイティブスピーカーが校正「メディカル英文校正サービス」 医学の学位を持つネイティブが校正。投稿先の規定に合わせて調整まで行います。 【悩み・その4】過去に不採用となった英語論文を修正して別の投稿先に出し直したい →プロのメディカルライターが規定にあわせて調整、投稿作業までを代行「メディカル論文リライトサービス」 投稿先の定めたフォーマットに従っていない論文は、投稿先の規定によって意図せず不採用とされることがあります。プロのメディカルライターが規定にあわせて調整を行い、投稿作業までを代行してリライトの負担を軽減します。 ※サービスメニューのうち「メディカル論文執筆サービス」と「メディカル論文リライトサービス」については、出版倫理規定に基づき、ご利用に際してエディテージを謝辞に追加することが条件となります。 カクタスの代表取締役である湯浅誠は次のように述べています。「このたび、医療従事者様向けの論文作成・投稿支援サービスを日経BP社と提携して提供できることを大変うれしく思っております。中国を中心に世界規模で論文が増えている中で、日本だけ論文数が減っている現状を嘆いている研究者の皆様のお手伝いをしたいと以前から強く思っていました。今回の新サービスのリリースによって、日本の医師・医療従事者の優れた研究をより速く、よりスムーズに、世界に発信していただけるようになると確信しています。」 <日経メディカル Onlineについて> 「日経メディカル Online」は、日経BP社が運営する、医師・医療従事者向けの会員登録制(無料)医療情報ポータルサイトです。1972年創刊の医療情報誌「日経メディカル」をはじめ、「日経ヘルスケア」「日経ドラッグインフォメーション」「日経バイオテク」の各スタッフが、取材・編集活動を通して培ってきた、医学・医療情報の収集・整理・分析のノウハウを駆使して運営しています。 参考URL: http://medical.nikkeibp.co.jp/
(湯浅 誠/カクタス・コミュニケーションズ株式会社 代表取締役) カクタスのステークホルダーは研究者なので、研究に近い人をもっと採用したいと思い、6月にパートナーの株式会社リバネスさんが主催する「キャリアディスカバリーフォーラム」 に出展してきました。このイベントの目的は、研究職を目指す若手研究者にアカデミア以外で 自分の研究を生かせる企業や職種を知ってもらい 、キャリアの可能性について考えてもらうことでした。研究者を採用したいと思う企業のみが集まる他にはないユニークなイベントで、参加者自身も各ブースに訪問し、自己プレゼンをして企業に対して何ができるかを提案するという試みで、企画自体がなかなか興味深かったです。 ポスドクの雇用問題は未だに深刻な中、日本の企業は博士人材を積極的に採用しない傾向があることが問題視され始めています。カクタスはアカデミア業界に向けたサービスを提供しているので博士人材が集まっているんじゃないかと思われがちですが、実はいわゆる「sales office」である日本オフィスは、どちらかというとアカデミアのプロというより、販売のプロ、つまりマーケティングや提案営業人材を求めてきました。 しかし、会社が成長するにつれて、必要な人材が近頃変わってきました。以前は本社主導でサービス開発を行っていましたが、日本オフィスに経験や知識が備わるに伴ってローカル主導でプロジェクトを回す機会がこの数年で増えてきました。もちろんマーケティングや営業は今でもビジネスのコアであり、当然必要な人材ですが、これからはアカデミアを熟知し、サービス開発や新規事業を任せられる人材も必要になってきます。 フォーラムでは、今まで研究者を対象に会社説明をした経験がなかったので、そもそも我々の仕事に興味を持ってもらえるか不安でしたが、当日は10名の学生さんが弊社のブースに立ち寄ってくださり、一人一人とゆっくりお話しをすることができました。ブースにきていただいた方の中の何人かはすでにカクタスでインターンやアルバイトをしていただくことに決まり、ほっとしています。やはり皆さん色々と将来のことを考え、民間でも経験をする選択も視野に入っているようです。 さて、ブースに来ていただいた方々を後日お招きして、カクタスオフィスで「オープンオフィス」という大学のオープンキャンパスのコンセプトを真似たイベントを8月8日に行いました。このイベントでは若手研究者の方をオフィスにお招きして、一緒にランチを食べながら会社説明と キャリア相談をするという緩めの会です。 我々の目的は、学生の皆さんによく知られていない弊社に実際にお越しいただいて、会社のビジョンや必要な人材をお話しし、参加者に研究サポートを企業で行うというキャリアについて本気で考えていただくことでした。当日は台風の影響があり数名当日キャンセルが出てしまいましたが、3名の学生さんがオフィスに訪れてくださいました。 スタッフと学生さんがお互いに自己紹介をしたあと、私から会社のビジョンや今後ほしい人材と彼らへの期待を説明し、弊社スタッフがモデルケースとして自身のキャリアパスを紹介しました。カクタスにもこの1年で、以前研究職についていた者や、研究者を目指し最終的にサイエンスコミュニケーションの道を選んだ者が入社していますので、研究者を目指している方々にも身近な存在であったようで、学生さんからは積極的に質問をしていただきました。 その中で気になったのが彼らの将来に対する漠然とした不安です。私の学生時代はインターネットという言葉が出始めた頃で、今とは比較にならない程すべての情報源がオフラインでしたが、現在はアカデミアの状況や研究力低下、若手の雇用問題など、学生さんにはインターネットを通じて暗い話ばかりが入って来るようです。「最近の学生は根性がない。我々の頃は不眠不休で研究に勤しんでいたのに」と嘆く先生方もいらっしゃいますが、「アカデミアには将来がないよ」とネットでもまた先輩からも散々言われ、それでも「よし、それでも自分は頑張るぞ」と思う若手研究者はどれ程いるのでしょうか? 若手の方がキャリアの方向性を考えるとき、アカデミアは確かに暗い話ばかりで、躊躇してしまう学生さんが多いのは事実ではないでしょうか。そのため引く手あまたな優秀な学生さんは真っ先に他の業界に行ってしまうかもしれません。悲観的なニュースを流し、問題を語り合うばかりではいけないと思います。これからの未来を背負っている若手研究者に夢を持ってもらい、自分も研究者になりたいと思ってもらう事は、アカデミアに携わる方々の責任でもあると思います。 カクタスではアカデミアコミュニティや科学技術政策を担う若手・中堅の有志の方々と一緒に「サイエンストークス」というイニシアチブを行なっています。モットーは「研究をもっと元気に、面白く」。サイエンストークスを設立した背景は、暗い話が先行するこの業界に明るい話題を提供したい、大変な中でも必死で頑張り、素晴らしい業績を出している方々や、研究を面白くする先駆的な活動をしている人たちをどんどん紹介し、明るいニュースを情報発信したいという思いからです。 私がこれまで出会ってきた「絶えず成長する人」は天才でも長時間労働者でもなく、常に前向きに新しい事に挑戦する人たちです。ビジネス界では、どれ程死にゆく業界だと言われている業界にも、絶えず成長している企業があります。大学もこの先数年で大きな様変わりをすると思います。近畿大学さんのように独自性を出して大きく成長されている大学もあります。この少子化の中で、同大学の受験者数はうなぎのぼりに増えていると言われています。 悲観的な話が好きなマスコミは、アカデミアのネガティブなニュースがあるとそれに飛びつき、おおごとにする傾向があります。当然問題は事実であり、問題は話し合われなければなりません。しかしアカデミアの中にいる人、アカデミアに関わる人たちも、業界の将来を憂うあまり暗い話ばかりしてしまってはいないでしょうか?悲観的な傾向は否めないと思いますし、その空気が若手の方々にも共有されているように感じます。中にいる方々は、自分達の言動が若い世代、とりわけこれからその業界に入りたいと思っている人たちに多大なる影響を与えることをもっと意識しなければいけないと思います。 先日のオープンオフィスでは、このことを痛感しました。自分達が学生さんに何かを与えたいと思い開催したイベントですが、蓋を開けてみると、学生さんたちとの交流で自分たちが多くを与えられた、そんなイベントでした。 悲観主義は成長を促しません。問題は問題として捉えながらも、楽観的で前向きであり、新しいことにチャレンジする人や、業界は、どんな状況でもよりよい道を切り開いていくと思います。私自身も、辛い時も前向きな情報発信を心がけたいなと思います。また前向きな情報発信をするためには会社も自分も成長し続けなければならないと思いました。
(湯浅 誠/カクタス・コミュニケーションズ株式会社 代表取締役) 「知ってることとできることは違う!」—このセリフは私が尊敬しているアイリスオオヤマ(以下アイリス)の大山社長がよくおっしゃっている 言葉です。もう、これ以上核心をついた言葉はないと思います。私の地元の友人が同社に勤めていてよく会社の話を聞いていたこともあり、以来アイリスはずっと身近に感じていた企業です。友人曰く、 実際はかなり厳しい会社のようですが(笑) 以前に私が見る数少ないテレビ番組であるNHKの「プロフェッショナル~仕事の流儀~」に大山社長が出演していました。トップによる即決、即断。スピードと行動重視。そして責任は社長自身が取る。番組を見て、そんな社長として姿勢にとにかく感銘を受けました。 ところで、日本では会議、会議、そして会議で1日が終わり「今日はどんな仕事をした?」と聞くと「1日会議だった」なんて事ありますよね?しかし会議は仕事の手段の一つで目的ではありません。煮詰まった時にアイディアを引き出すため、大きな決断を下すため、プロジェクトを開始するためなど、様々な用途にあわせた会議があります。また会議が得意な人とそうでない人、いつも発言をする人とそうでない人、和を乱す人や常に歩調をあわせる人など、これも様々。 私は正直、そもそも会議自体があまり好きではないですし、得意ではありません。会議の場で自分の意見を主張し続けるのは辛いし、周りを敵に回す事もあります。特に本社の経営陣と行う会議は意見が食い違う事が多々あり、双方熱くなる事もあります。会議の参加者の性格がわかると、ある程度ハンドル出来ますが、反論されるとわかっているから発言するのが面倒になり黙り続ける事も頻繁にあります。気になるのが同じメンバーの会議でいつも同じ議題やアイディアが挙がり、その時は皆「Yes, let’s do this!」と意気揚揚と話すのですが、いつまでたっても実行しない。そして半年後にまた同じ話をしている。「あの会議はなんだったんだ?」と思う事がしばしば。これは多くの方が感じる事ではないでしょうか。 また、会社全体の経験や知識が浅い時には、「知識を持った雄弁な話者」を無条件にリスペクトしてしまいがちです。自分達が知らない事を知っている人は常に凄い人に見えますよね。「なんかこの人すごい事言ってるぞ。しかも自信を持って自分にはできると言ってるし。さぞ仕事ができるに違いない。よし、お願いしよう!」みたいな流れです。まだ結果が出てもいないのに、どんどん重責を与えていく。雄弁な人はごまかすのも得意で、仕事をしてない、できていない時でも上手く切り抜けてしまいます。半年経って「これは何か怪しいぞ」と思い、一つ一つの仕事を事細かに見ていくと、全く仕事をしていなかったという衝撃の事実!これぞ「知ってる事と出来る事は違う!」 どれほど「自分には出来る。これこれそうすべきだ。 」と語ったとしても、実行しなければ、それは知らない事と何の違いもない。よく聞くのが「あのアイディア、俺前に言ったよ、あいつ人のアイディアを盗みやがって」。SNSの走りだったmixiだって、今や知らない人はいないfacebookだって、アイディアをマネして生まれたサービスです。違いは一つだけです。そのアイディアを実行したか、いつまでも話だけをしているか。これだけです。 アイリスでは毎週月曜の会議で各開発チームが新商品のプレゼンを経営陣前に行うのですが、そこで直接社長がフィードバックを出し、売れると判断したら社長自らGOサインをだします。ただ、社長はすごく厳しく新商品を見ていくので、合格するまでは中々厳しい壁があるようです。それでも次から次へと新商品の提案が社内から来て、なんと同社の売上に占める新商品の割合は半分だそうです。アイリスの商品にはちょっとひねった家電が多いですよね。よくある「そうそう、その機能あるといいよね」みたいなやつです。これも恐らく競合が「自分達だってこれ位考えていたよ」と思うでしょうが、なにせアイディアが来て商品化するまでのスピードが半端ないのと、責任を社長が取るというスタンスなので、現場は猛スピードで進められます。商品開発に携わっている方はどんどん商品を開発したい。ただ大企業だとステークホルダーが多く根回しが大変。そして「もしこの商品が売れなかったらどうするんだ?」これだとアイディアがあっても怖くて慎重になってしまいますよね。この弊害を取り払ったのがアイリスの開発方法。これが、私が参考にしている「知ってることとできることは違う」です。 もちろん自分自身はこんなにかっこよく実践は出来ていませんが、少なくとも私は会議でどれ程雄弁に語っても、手を動かして仕事をしていない人は一切評価しません。むしろ物静かでも着々と仕事をこなしてくる人や、次から次にアイディアを出しては実行する人を評価します。行動する、実行する。これは仕事の基本中の基本です。 そして組織のトップとして自分が心がけているのは、その後押しをしてあげる事です。問いかけを受けたら答える。決断は引き延ばしにせずその場で下す。言いたくないフィードバックも出す。もちろん誤った決断を下す事もあり、訂正もしますが、決断を先伸ばしにせず、その時その時で最善と思った選択肢を選ぶ。間違っても早い段階でそれに気が付き軌道修正すれば、ほとんどの問題はカバーできます。外出が多く社内にいない事がしょっちゅうですが、外出先からも頻繁にメールをチェックし、指示はすぐにだす。休みの日も同様です。自分の判断を待っている人々の時間を無駄にする訳にはいきません。またスピードが求められている今のビジネスにおいて、トップはとにかくすぐ判断をし、現場はそれ以上のスピードで実行する。多少は粗があっても走り続ける方が、熟考し徹底的に戦略を練り、石橋をたたいて渡るよりは成功する確率が高いと思います。机上の論理で事が運ぶ事は少なく、予期せぬ事が起こるので、考えがある程度まとまったら先ずは行動あるのみ。 と、ここまで書きながら本当は自分に発破をかけています。やれていない事がたくさんあるので、甘えてしまう自分に鞭を打って前進していきます。知ってる事と出来る事は違う!
(湯浅 誠/カクタス・コミュニケーションズ株式会社 代表取締役) カクタスのリニューアルサイトにようこそ。新サイトでの初ブログ記事では「日本の国際化」について思うことを書きたいと思います。カクタスでは「国際化サービス」を謳っているのですから、当然このトピックについて触れておく必要があると思います。 世間ではよく「日本は国際化ができていない」と言いますよね。これ、何を意味するかは人それぞれではないかと思います。例えば「日本人は英語ができない」、「日本は世界基準で仕事がをしていない」、「日本人は外国の人たちとうまく仕事ができない」、などなど。でもやはり一番問題視されているのが日本人の英語力だと思います。 では日本人が全員英語がペラペラになったら日本は国際化するのでしょうか? 私は「No」だと思います。 英語力ということで言えば、私は大学卒業後にイギリスに留学し、その後弊社のインド本社でインターンとして働いていました。…と説明すると、ずいぶん英語がお上手だったんでしょうねとよく言われますが、自称まあまあ英語ができたイギリス留学時代の私が国際人だったかと聞かれたら、今の自分なら間違いなく「No」と答えます。当時の自分は 躊躇なく「Yes」と答えていたのでしょうが(笑)。 インド勤務経験を経て日本に戻り、日本で法人向けの「国際化サービス」を展開する企業の代表としてビジネスをする中で、「国際化とは何か?」を日々考えることが仕事になりました。その中で、イギリス時代を振り返り、英語ができただけの私には「国際人」として何が足りなかったのかが少しずつわかるようになってきました。 ひとことで言えば、それは「相手への理解」です。 イギリスという国には世界中から人が集まるので、それまで交流したことがなかった様々な国の人たちと接する機会が頻繁にありました。ちょうど私がイギリスに滞在していた頃にアメリカで9.11が起きたのですが、当時通っていた大学の同じクラスにアフガニスタン人の同級生が数名いました。無神経だった若かりし頃の私はテロのニュースを観て彼に「お前はタリバンを支持するのか?」、「人を殺した事はあるのか?」などと、まあとんでもない質問をしたことがあります。彼は超が付くほどの親日家で、私のろくでもない質問に丁寧に回答をしてくれましたが、同時に「今の質問で傷つく人もたくさんいるので気を付けた方がいい」と忠告してくれました。 また別のクラスにイラク人がいて、「彼はテロリストに違いない」と偏見を持ち、避けていたこともあります。海外に出たばかりの学生時代の自分は無知で、国際情勢に疎く、メディアの情報をもとに無意識に国や出身地域で人を判断し、差別することがよくあったのを覚えています。今の自分が振り返ると信じられないですが、当時はそれを疑問にも思いませんでした。 日本が、あるいは日本人が国際化するためには、偏見を持たず相手を理解する努力が第一に必要です。そういう意味で、日本が国際化できていないのは事実だと感じたエピソードが最近ありました。 数か月前、インド本社から日本に出張に来たIT技術者がいました。なかなかイケメンなのですが、少しやんちゃ顔の若いインド人です。彼が日本に到着した1日目、同行していた日本人社員は、そのインド人スタッフを道で待たせていた、たった数分間の間に警察につかまり職務質問を受けていたのを見て驚いたそうです。実際、本社から出張でくるインド人の多くが日本で職務質問をされた経験があるため、対策のためにパスポートを常に所持しています。 白人の欧米人や東洋人が道で数分立っていても、そんなに頻繁に職務質問に会うことはないでしょう。少なくとも日本の警察は外見や肌の色から特定の国や地域の人に歪んだイメージを持っているという印象を受けます。インド人はイスラム教徒も多く、「人相の悪いイスラム系」=「悪い人」という誤ったイメージを持っているのかもしれません。 もちろん国際化していないのは日本人だけではありません。特定の宗教や文化を持っていることで、相手を理解することができないケースもよくあります。わかりやすい例では、逆に先ほど書いたアフガニスタン人のクラスメートはイスラム教徒であったため、大学で女性の教師が教えているということが理解できず、批判していました。イスラム教では宗派によっては家庭以外の会社や学校などの社会生活に女性が混ざっている事自体が普通な状態ではないので、女性の先生が大学にいる事が理解できなかったのです。 そのクラスメートが女性教師に向かって「あなたはなぜ私の指導をしているんだ。家事はいいのか?そんな服装で外を出歩いていいのか?」と問い詰めている姿を見た時はびっくりでした。しかし、それを「イスラム教徒は男尊女卑でけしからん」と言ってしまえばそれで終わりで、そこからは相手への理解が進みません。一歩踏み込んで文化や考え方の違う相手を理解しようとすることが大切です。 この人はなぜそう思うのか、どんな教育を受けてきてそう考えるようになったのか、相手としっかり語り合うことで理解できることは沢山あります。自分の考えていることを頭から否定されて嬉しい人などいないので、先ずは相手の話を最後まで聞く。そして自分が思う事を伝える。これは何も外国の人と接する際に必要なスキルではなく、職場で考えが異なる人や自分に否定的な人と働く際に求められる事でもあります。国際化とは、結局のところ日常の人間関係の延長線上にあるものだと思うのです。 実際に、私はそのアフガニスタン人のクラスメイトとその後かなり親しくなりました。ある時はイギリスにいる彼のアフガニスタン人の友達 20名と一週間枕を共にし、彼らの国で起きている戦争の話や、イギリスに亡命してきた経緯や、彼らがいかにアメリカとロシアに利用されてきて、日本がどれ程アフガニスタンの復興に貢献したと考えているかなど、当事者からしか聞けない話をたくさん聞かせてもらいました。この時の体験は、彼らに対する考え方だけでなく、国や地域、宗教や文化を超えて「相手を理解する」ということの意味が自分の中で180度変わった体験でした。 国際化するためには何も特別なスキルが必要ではなく、基本は相手をリスペクトして理解しようと努力する事が何においても大切なのかもしれません。もちろん英語力はある程度ないとそもそも会話が成り立ちませんが、一番の問題は言葉の壁ではありません。 「日本は特殊な国だから」、「島国だから周りと違う」「単一民族なんだから(これは厳密にいうとあり得ない話ですが)」と自分達を特別だと思い、「外人は理解出来ない、自己主張ばかりする」と否定せず、相手を一人の人間としてしっかり理解すること。そして出身国や外見によるステレオタイプのイメージを捨てることです。 インド本社で勤務する前、私は「インド人はターバンに口髭でカレーを食べている」と本気で思っていました。もちろんターバンに口髭でカレーを食べているインド人も確かに存在しますが、もちろん全員ではありませんし、実際はマイナーです。インド人と働いていると言うと「インド人は自己主張が強いでしょう」と言う人がよくいます。これは事実で、私が一緒に働いているインド人の多くが普段自己主張が強いのは確かですが、こちら彼らのコミュニケーションスタイルを理解してそれに合わせ、自分の意見しっかり伝え、時には強い口調で主張すれば、100%自分の話を聞いてくれます。 英文校正や翻訳などの言語サービスを提供している企業の代表としてこんなことを言うのはおかしい気もしますが、「国際化」とは相手を理解すること、それが第一だと思います。言葉はそのための道具にすぎません。自分と違う人々を理解をするためには、まず世界を旅する。そして自分が生まれ育った地域とは異なる地域の現地の人たちとふれあい、彼らを理解しようと努力する体験をしてみることです。日本に滞在している外国人の場合は、わざわざ日本に来てくれている大切な友人として丁寧に接して、その貴重な機会を通じて彼らをしっかり理解すること。これが日本の国際化の第一歩だと思います。
