【誠のFACT】「研究支援サービス・パートナーシップ認定制度」は大学と民間企業の新たなコラボレーションの流れを生み出すか?

(湯浅 誠/カクタス・コミュニケーションズ株式会社 代表取締役)   カクタスの国際研究広報事業、Impact Science(以下、インパクトサイエンス)が、文部科学大臣が認定する「研究支援サービス・パートナーシップ認定制度」の研究支援サービスとして採択されました。 ※文部科学省サイト「研究支援サービス・パートナーシップ認定制度」 認定企業一覧 今回認定を受けたインパクトサイエンスは、これまで私のブログでも何度か「研究プロモーションサービス」として紹介してきた弊社事業の新しいブランド名です。カクタスはこれまで英文校正・翻訳・論文投稿支援を扱う「エディテージ」で知られており、この事業をご存じでない方もたくさんいらっしゃるかと思います。インパクトサイエンスは、その名の通り研究成果のインパクトを最大化するため、新しい科学的発見や知識を世界に伝え普及させるためのサポートを行うサービスです。国境を越えた研究コミュニケーションを通して、国内外の研究者や政府、企業、市民などの幅広いステークホルダーを繋ぎ、学際的なイノベーションの創出をサポートしています。 カクタスの日本法人では、2013年に始動したサイエンストークスを皮切りに、科学コミュニケーション活動を細々と行ってきました。サイエンストークスは、研究に関わる全ての人が立場や所属先に関係なく、日本の研究を一緒に盛り上げるために、共に活動をしていくフォーラムです。この活動を通じて私たちを知った方々が科学コミュニケーションの面白さと価値を感じてくださって、2015年ぐらいから「研究プロモーション動画を作りたいのだけれど…」「ジャーナルのホームページ制作をお願いできないか?」「英語プレスリリースの執筆も対応していますか?」といったご相談をいただくようになりました。 研究の国際化が急速に進み、大学が国際的認知度とレピュテーションを強く意識し始める中、もしかしたら今後研究情報を海外に発信するニーズがどんどん強まるのではないか?その風を受けて、私たちは2017年から研究コミュニケーション事業を新しく開始し、2019年には本社に各研究分野サイエンスライターとクリエイターを抱える専属チームを立ち上げ、インパクトサイエンスというブランドとしてリニューアルました。現在では、ヨーロッパ、日本、中国、韓国において、学術出版社・ジャーナル、大学・研究機関などのお客様にサービスをご提供しています。 そんな折に開始された今回の文部科学省による「研究支援サービス・パートナーシップ認定制度」の募集、まさにタイミングが絶妙でした。エディテージとしては研究支援の18年の実績がありますが、インパクトサイエンスは立ち上げから間もないブランド。実績は当然少ないものの、これまでの活動で積み上げてきた経験値と、私たちの企業としての姿勢、そして今まさに高まる大学のニーズを考えれば、確実にプロフェッショナルな研究支援をご提供できると判断して、認定に応募することにしました。 昨年度に入社してくれたスタッフの中に、以前に大学職員として活躍していた、いわゆる書類作成のコツを熟知している経験者がいたこともあり、これもまた幸運に恵まれました。「天は自ら助くる者を助く」ということわざがありますが、この数年、もがきながらも色々な事に挑戦し、お客様から「こんなことをやりたいので手伝って欲しい」と相談が来れば、新しい分野の依頼でもサポートする方法を考え、走りながら考えるスタイルで新事業を運営してきました。昨年度の初旬には、まだ売上もままならない状態でしたが、私たちがやっていることには必ず将来ニーズがあると強く信じて、思い切って日本と本社でチームを立ち上げました。あの時の判断は正しかった、とようやく思えるようになりました。 この場を借りて、このような認定制度を開始してくださった文部科学省の関係者の皆様にお礼申し上げます。とりわけ日本ではこれまで、国の機関が特定の民間企業を認定することに少なからず抵抗があったと思います。常日頃から民間企業として国立大学に出入りしていますと、しばしば「国の機関は民間に対して公平であるべき」という考えが深く根付いていて、自社の実績や品質、サービスにかける思いが評価の対象にならないことがしばしばありました。一生懸命契約を詰めたプロジェクトでも、公平性を保つためと最後に複数企業との共同になるケースや、料金のみで評価されるケースが非常に多いことを痛感しておりました。文部科学省認定ロゴを使わせてもらう事がどれほど重みのある事か、これはアカデミアの周辺で20年近く従事している私達には身に染みて感じることです。 そしてこの認定制度を通じて他の企業さん達と新しい交流やコラボ、協業が活発に行われていく事を楽しみにしています。認定を受けた企業のリストを拝見すると、既にこの業界で交流のある企業さん達がいくつかあります。まだやりとりのない企業名もありますが、この制度が何年も続けばたくさんの研究支援系の企業の方々と知り合いになれますし、お互いのノウハウを共有し合うことで、日本のアカデミアを下支えするもっともっとイノベーティブな支援を展開することができるのではないかと思います。日本の科学技術振興のために、民間企業が大学と一緒にできることは無限にあるはずです。 今は、政府、大学・研究機関、研究者、民間企業が立場の垣根を超えて知恵を振り絞り、最善の活動を行っていくことが重要だと思います。今回、文部科学省で始まったこの認定制度という面白い試みが新しい流れを作り、「やはりこの認定制度を開始して良かった。研究を支援する新しいサービスや製品がどんどん生まれてきたね」と思ってもらえるように、私たちもチームの皆さんと共に頑張っていきたいと思います。
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【誠のFACT】これまでの人生を振り返ってみる

(湯浅 誠/カクタス・コミュニケーションズ株式会社 代表取締役)   先日インド本社で行ったリーダーシップ研修会が非常に興味深く、自分自身の振り返りに役立ったので書きたいと思います。カクタスグループは設立から17年目の現在、世界7ヶ国に現地オフィスを持ち、1,000人近くのスタッフが働く会社に成長しました。私自身は設立2年目にインドで働き、5年目からは海外初拠点日本オフィスに在籍しているので、これまでの成長を会社と共に経験してきました。 信じられないスピードで変化する会社で、創業者であるゴエル兄弟以外はリーダーシップの入れ替わりが何度もあり、自分が今もそのグループにいることが奇跡のようです。今年度もまたリーダーシップの変更があり、新たにCACTUS leadership groupが結成されたため、今回全員の結束を強めるための研修会に参加しました。 毎回、研修会があると事前にたくさんの宿題があるのですが、今回はなかなか大変な課題が来ました。「自分自身のこれまでの人生を振り返り、5年ごとに起きた出来事(いい事・悪い事)、そこで感じた事、それらが今の自分自身の性格形成にどう影響を与えたか、印象的な人物は誰で、それはなぜかをこと細かに書き出し、一人1時間半を使って自分の人生について語りなさい」という宿題です。インドへ向かう約9時間のフライトの機内でずっとこの課題に取り組んでいました。誰でも時折自分の人生について人に語ることはありますが、まさか生まれてから今日までの人生を詳細に話す機会があるなんて考えてもいませんでした。まさに「自分自身を他の仲間の前でさらけだしなさい」という課題です。 はじめは幼少期の思い出がなかなか浮かんできません。とにかくやみくもに思い出してみるのですが、どうしても思い出せないので、エクセルに年号と自分の年齢をすべて書きだし、思い出せる年から入力してみました。すると最初は出てこなかった思い出がどんどん蘇りました。私の幼少期はとても人様に語れるようなものではないので割愛しますが、高校までの自分の思い出に共通していたのが「不安、妬み、劣等感」とネガティブな感情ばかりでした。途中なんとかいい思い出がないか自分に問いかけても、やはり出てきません。ちょっとした喜びはもちろんありましたが、とりわけ人に語るまででもない些細なものばかりです。 両親や親族がこの記事を読んでいないことを祈りますが、事実がどうであったにせよ、私の記憶の中では、15歳まではNot happyな人生であったようです。その後の人生において内面的な変化はありましたが、やはり自分に起きた幸せな出来事よりも辛い出来事のほうが記憶の中では優勢で、仮に同じ年にいい思い出はあっても、辛い思い出の影響力が強いようです。 嘘をついても仕方ないと開き直り、ありのままの人生を綴って当日を迎えました。現在CACTUS leadership groupのメンバーは9名で、このセッションは一人の持ち時間が1人90分、合計単純計算で810分、実際は15時間の長丁場でした。私以外全員のメンバーがインド人なので、育った環境が違うため理解できない所もありましたが、一人一人の話を聞いていると、アップダウンはあれ概ね人生を前向きに捉えている人がほとんどでした。現在の私は決して悲観的ではなく、どちらかというと楽観的だと思いますが、他のメンバーと比較すると、自分の心の奥には陰が宿っているのだと強く感じてしまいました。似たように辛い経験をした人の話を聞いても、当初は辛くても、その運命をしっかりと受け入れているように思えました。 自分と彼らの違いはなんだろうか、とこの研修会の間に何度も自問自答していましたが、自分なりに出た結論は「許せていない事がまだたくさんある」でした。すべて過去の出来事で現在の私の人生に影響はないはずなのですが、裏切られた記憶、強制された記憶、バカにされた記憶などがいまだに心の奥に眠っているようです。「同じ辛いことが過去に何度も起きたから、将来また起きるのではないか心配なんだ」と正直な思いを語ると、他のメンバー数名が「そう思うこと自体がまた悪い出来事を呼び込むから、考え方を変えた方がいい」「ここでその感情は断ち切った方がいい」とフィードバックをくれました。 10年以上前に「ザ・シークレット」という本で読んだことを思い出しました。「無意識に思う事が現実に起こる。頭の中が常にプラスであればいい事しか起こらない、逆にマイナスな事を考えるとそれが実現する」という話です。そんなのバカげている、と言ってしまえばそれまでですが、不安であっても何の解決にもなりませんし、このマイナスな発想自体を変えるいいチャンスだと思いました。 今回の研修会は自分自身の性格を変える機会だったのだろうと締めくくりました。私はこの研修を一つの人生の転機として、過去に起き忘れた自分の気持ちと向き合い、変わっていこうと思います。今まで自分が許せないと思っていた人や出来事とここでお別れをして、常にプラスに考えます!またダメダメだった幼少期の自分も許します! I forgive you. I forgive myself. And I move on! 皆さんも時間を取って一度自分の人生を振り返ってみてください。もし私のように記憶の中に埋もれたネガティブな自分がいたら、それを開放してあげてください。自分の人生を変えられるのは自分しかないので、一緒にポジティブな未来に変えていきましょう。
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【誠のFACT】東アジアの中でプレゼンスを失いつつある日本の大学と、ラディカルな経営改革の必要性〜THE世界大学ランキング2020分析〜

(湯浅 誠/カクタス・コミュニケーションズ株式会社 代表取締役)   9月11日にTimes Higher Education(THE)の世界大学ランキング2020が発表されました。私はここ数年、韓国・中国の大学の躍進に注目しています。昨年のRA協議会第4会年次大会で行ったランチョンセミナーでは、ランキングが劇的にアップした韓国の大学事例を取り上げてその要因を発表し、ブログでも記事を書きました。また弊社が刊行している季刊誌Blank:aの最新号は、国際化が著しい中国の浙江大学の特集を組みました。今年と昨年のデータを改めて比較していると、やはり今年も日本の大学のパフォーマンス低下が気になります。 THE世界大学ランキングは、200位までの研究機関について総合点数が出るため、大学は200位以内へのランクインを目指しており、そこから100位内、50位以内へと目標を上げていきます。韓国の大学を取材した際も「まずは200位以内へ」を目標に掲げているケースが多かったです。そこで、まずは200位以内にランクインしている東アジアの国別研究機関数をTHE2020とTHE2019で比較してみました。 以下の表をご覧ください。 Googleスプレッドシートのダウンロードはこちらから THE2020(Global TOP200) 23機関(中国:7、韓国:6、香港:5、日本:2、シンガポール:2、台湾:1) THE2019(Global TOP200) 22機関(中国:7、韓国:5、香港:5、日本:2、シンガポール:2、台湾:1) 昨年から唯一Top200位入りの大学数を増やしたのは韓国で、躍進が続いています。中国の台頭に注目しがちですが、地道にランクアップをしているのは実は韓国の方です。 次に、東アジアの大学だけに絞ってTOP30位に注目してみましょう。 THE2020(東アジアTOP30) 30機関(中国:10、韓国:8、香港:5、日本:4、シンガポール:2、台湾:1) THE2019(東アジアTOP30) 30機関(中国:9、韓国:7、香港:5、日本:6、シンガポール:2、台湾:1) 中国、韓国のランクイン大学数は1大学ずつ増えています。一方で、日本は2大学減っています。香港、シンガポール、台湾は人口規模、大学数などの規模が小さく日本との比較が難しい、その逆に中国では国策の影響で注ぎ込まれている予算・人員の規模が大きいため比較の対象にならない、という議論は成り立つかもしれません。しかし、韓国の躍進と日本の苦戦が同時に起きている事実はこうした国の規模や条件の差では説明がつきません。なぜなら、ランクインしている日本の4大学は全て国立大学ですが、一方の韓国8大学の実に半数が私立大学であり、国の予算の影響を受けていない大学だからです。 韓国の大学の成功要因がどこにあるのかは直接各大学に聞かないとわかりませんが、韓国が強いスコアは共通しています。取り立てて顕著なのはIndustry Incomeですが、ここ数年の変化ではなく、また特に韓国の大学は産業との関わりが強いので、近年のランクアップに大きく寄与しているとは考え難いです。意外に思われますが、実はInternational Outlookがどんどん改善されています。とりわけ今回東アジアの私立大学は全てスコアが50点以上で、60点以上の機関もあります。International OutlookスコアがTHEのランキング全体に占める比率は7.5%と決して高くありませんが、国際化はCitationなど別の指標に間接的に影響を及ぼすので注目が必要です。日本の研究機関の殆どは、このInternational Outlookが 30点台です。韓国も5年前はほぼ全ての大学が30点台でしたので、この数年で相当力を入れたのだと思います。 そしてその影響か、被引用数も韓国は日本より高いスコアをみせています。東大の60.7点が日本の大学で一番高いスコアですが、東大と比較されるソウル大学が66.5点、また90点台の機関もあります。東アジア30位にランクインしている韓国8大学中、なんと5大学が東大より高いスコアです。つまり、研究の質を評価する被引用数においても、韓国は日本よりパフォーマンスが良いと言えます。 日本の大学のランキングについてネガティブな話が続いてしまいましたが、当然良い面があります。TeachingとResearchはどこの大学も他国と比較して高スコアです。この2つは高等教育機関の基礎体力と言えます。去年インタビューした、中国、韓国、シンガポールのトップ大学の方々に日本の大学の評価を問うと、「日本の大学はランキングでは苦戦しているが、本来は高い実力がありレベルが非常に高い」というコメントを何度も聞きました。いまだに東アジアでは日本以外でノーベル賞を受賞した研究者はいませんし、基礎研究の底力はダントツで高いのだと思います。 問題は、その「本来の基礎体力」をいつまで維持できるかということだと思います。人間の基礎体力が年齢と共に落ちるように、大学も若返りや改革なしでは長期にわたって実力を維持していくことは難しいのではないでしょうか。近隣諸外国の事例を学んでいると、体力を維持するために、日本の大学がやれることはまだまだ山のようにあるように思います。 大学関係者の方々にお話を伺うと、「THEは欧米大学に有利に働いている」「このランキングは日本の大学の真の実力を反映していない」とのコメントをよく聞きます。前者は確かにその通りで、研究評価は英語をベースとしているので、英米大学が圧倒的に有利です。しかし後者については、本当にそうだろうか?と疑問に感じています。恐らく世界の基準からみた今の日本の大学の実力は、ランキングの通りなのではないかというのが、グローバル企業の視点から日本のアカデミアを眺めた時の私の率直な印象です。基礎体力はまだかろうじてあるが、疲弊し息切れしていて、好転させる画期的な策をまだ見出せていない状態なのではないかと感じます。 そんな中、学長がリーダーシップをふるい、必死で大学改革を行おうとしている日本の大学もいくつかあります。大変な時代にこそ必ず強いリーダーが現れるものですし、リーダーシップなしでこの困難を乗り切るのは難しいと感じます。これからの日本の大学にとって大きな起爆剤となる経営改革とはどんなものでしょうか?例えば、怖いものなしで働けるバリバリの40代学長が現れたり、旧帝大に外国人学長が就任したりといった、今までになかったラディカルな試みをする大学が出てくれば、一気に変わっていけるのではないかなどと考えてみたりもします。立命館アジア太平洋大学は、ライフネット生命の元社長である出口治明氏が学長に就任されるなど、面白い取り組みをされていますね。また学費が一律であった国立大学でも授業料を改定している機関があります。千葉大学は値上げ分で全学生を海外留学させるという目標を掲げています。巨大組織を動かすのは並大抵の事ではありませんし、中にいる方々には様々なご苦労があると思いますが、日本の大学は今まさに大きな変革を求められる時代にいるのだと思います。 このTHEランキングの動向分析記事は毎年この時期に掲載していきたいと思いますが、数年後の記事に、「日本が奇跡の復活」というタイトルの記事を書く日がくることを夢見て、弊社のような大学を支援する企業も、情報共有や具体的な支援を通じて、できる限りのことをしていきたいと思っています。
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【誠のFACT】海外インターン生の姿から、「働くとは何か?」を問い直す

(湯浅 誠/カクタス・コミュニケーションズ株式会社 代表取締役)   7月から8月末まで、カクタスではアメリカから3名のインターン生を受け入れました。CRCC Asia という組織から、夏休みに日本でインターンシップを経験したいアメリカ人の大学生がいるので受け入れてくれないかと打診され、「新しいこと大好き」な弊社としては喜んで受け入れることにしました。当初2名の採用を予定していましたが、事前のスカイプ面談で3人の学生と面接したところ全員好印象で、3名全員採用したい!となり、「やってもらう仕事は日本に来て、本人と話してから考えればいいや」という気持ちで希望者全員を受け入れました。 7月から2名、8月から1名、大学でマーケティングやコミュニケーション論を学んだアメリカ人の学生さんたちがインターンに来てくれました。7月から来た2人は偶然にも2人ともテキサス大学の学生でしたが、1人は最初は緊張の面持ちで、どことなく不安げな様子で言葉も少なめ。もう1名は明るく元気なタイプの学生さんでしたが、やはり仕事では人の話をよく聞き静かに着実に仕事をこなしていました。今まで自分自身が一緒に働いたアメリカ人は自信満々、マシンガントークを繰り広げる人がほとんどで、止まらない会話に途中でついていけなくなることもしばしばだったのですが(笑)、この2人は相手の出方を見て話しをする、かつ謙虚なタイプ。恐らく意見の多いインド人やアメリカ人の同僚と相当長く働いて慣れすぎているせいか、外国人は皆、自己主張が強くてマシンガントークをするものかと思い込んでいたようです。同じ国でも色々なタイプの人がいるのだな、と新鮮でした。 インターンシップというと、多くの会社で責任があまり重くない簡単な仕事を経験してもらう感じが多いと思いますが、弊社はインターンでも社員であっても、仕事に同じコミットメントを期待します。もちろん責任範囲は狭いですが、基本はその人が一番得意そうな仕事をしてもらい、時にはクライアント案件に関わってもらうこともあります。社員を担当につけて業務管理は行いますが、彼女たちには私も直接「あなた達は大学でしっかりマーケティング、コミュニケーション論を勉強してきたのだから、学んだことをここでどんどん吐き出してもらいたい。色々と仕事を投げていくのでよろしく」と伝えました。社内用の提案書やリサーチ、デザイン案件から資料編集まで、インターンにそこまでお願いしていいのなかと思うこともどんどん頼みました。 当初はどんなものが出てくるか想像がつかなかったので、ちゃんとできるものか心配していましたが、最初にお願いしたリサーチのプレゼンを聞いてびっくり。かなり細かく調べ、かつしっかり自分の意見と提案を入れており感心しました。もう後は思う通りに仕事をしてもらえば大丈夫だと判断し、指導担当の社員に「あとはよろしくね」と伝え、それ以降は彼女に時折進捗を聞くだけで、最終的に提出されてくるものだけをチェックしていました。 時々「調子はどう?」と学生さんたちに話しかけると、いつも「全て順調です!ここの仕事はすごく楽しいです!」と皆口をそろえて言ってくれます。これは自分を喜ばせるために言ってることなんだろうなーと、あまり深く考えていませんでしたが、送別会の時に「本当にカクタスでインターンできてよかったです。恐らく私達は日本に来た他のアメリカ人インターンの学生たちと比べて一番いい機会を与えられたと思います。他の仲間たちは仕事が楽しくないと言っていたので」と言ってくれました。何がこの違いに繋がったのだろう?と自分なりに考えて、おそらく会社がインターン生に何を期待し、どう接したかの違いなのではないかという結論に至りました。 私自身、カクタスのインド本社にインターン生として入ったのがこの仕事に就いた始まりです。当時は社員並み、いや社員以上に期待をされ(私が優秀だったからではなく、スタートアップ時代は会社の運命をそこにいた日本人に託すしかなかったためですが…)、一時期は一番早く会社に来て最後に帰るため、大事な会社のカギを自分が預かっていたこともありました。その時はインターンで経験のために働いているのだという考えはなく、一つでも多くを学び本気で成功したいという思いがあった事を思い出しました。今回来てくれたインターン生たちも各々目的を持って来日し、その経験をもとに自国で成功したいという思いが仕事ぶりから伝わってきました。 社会人になるといつからか初心を忘れ、時にはお金のために仕事をしている、自分が会社に働かされていると感じることがあると思います。私も今はサラリーマン社長ですし、昔はいち社員でしたので、やりたくない仕事や激務の時はよく愚痴をこぼしていました。お金をもらうどころか、お金を払ってインターン(仕事)に来ている彼女たちを見ていると、「働くって何だろう?」と考えさせられました。自分がやりたい仕事をやりたい、とは誰もが思うかもしれません。しかし、与えられた事を一生懸命頑張っていると、それがいつのまにかやりたい仕事になることもあるし、これが仕事をいつまでも楽しく続けるための秘訣だと私は思っています。日本に来るまで東京大学の存在さえ知らかった彼女たちが、日本の旧帝大向けに海外向けPR手段から、海外学生をリクルートする戦略まで、プロ並みに社員に向けてプレゼンしている姿をみて、働くとは何か、自分自身の考えを深めるいい機会になりました。仕事は自分次第で楽しくなるものなのです。今回の3名のインターン生からは学生のポテンシャルを大いに感じました。この気持ちを一生忘れないでほしいです! 最後に、このインターン生受け入れでもう一ついいことがありました。アメリカ人インターン生の教育担当に、今までチームマネージメント経験がない若手社員を起用しました。これが大当たりで、彼女は3人のインターン生を「マイ・ガールズ」と呼んでかわいがってくれ、驚くほどしっかり管理、指導してくれました。初めて部下を持って大変な中、自分の仕事もちゃんとこなしてくれていました。最後の送別会で寂しそうにしている姿を見ると、本当に信頼関係を築いていたんだなと感慨深かったです。学生と社員のマネージメント教育、両方に効果があるなるなんて、まさに一石二鳥。来年の夏も是非海外インターン生を受け入れしたいと思います。まさに素晴らしい経験でした。
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【加納愛のMarkedemia】自分の仕事を奪ってくれる人材を採用せよ

(加納 愛 / ブランディング・事業開発部、アソシエイト・ヴァイスプレジデント)   弊社で国際研究広報を主眼とした、リサーチ・コミュニケーションサービス(以下RCS)事業を本格始動して3年ほど経ちました。もともとは欧米の商業学術出版社向けにスタートした事業ですが、現在は日本・中国・韓国・イギリスを中心に展開し、日本の大学でも国際研究広報を重要な成長戦略として位置付ける大学が増え、「一緒にやりましょう!」とお声掛けいただけるようになってきました。 必然的に弊社のチーム・サイズも拡大の一途を辿っています。本社のRCS事業部のクリエイティブチームはこの1年で4倍に拡大。日本でもこの3ヶ月で、経験豊富なアートディレクター、広報スペシャリスト、営業、そして社内移動のプロジェクトマネージャーと合計4名の新メンバーを迎えました。週に1回は「新メンバー紹介」「異動のおしらせ」メールがカクタスグループ内で飛び交う今日この頃です。 …と書くと社長のブログを併わせて読んだ方は「カクタスって変化が多くてバタバタした会社だな」と思うかもしれません。実際バタバタなんですが、それは挑戦し続けている証拠。古株の私は、新しい社員が入るたび「いやぁ〜、メンバーが増えるっていいよねぇ〜」と悦に入っています。新しい個性が入るとチームのダイナミクスにも変化があるし、その人の個性が会社に新しい可能性を連れてくるのを感じます。 ところで、カクタスの採用方針には、明文化はされていないけれど執行部から口を酸っぱくして言われる2つのポイントがあります。これ、いいなあと常々思っているので、今回紹介したいと思います。 1つ目は、「自分より能力が高く、自分の仕事を奪ってくれる人間を採用せよ」。これは必ず言われるポイントです。自分より高い給与で部下を雇うこともあります。経験が浅いマネージャーはつい「この人は自分に使いこなせるだろうか?」を重視しがちです。不安げな人は、自分の地位をおびやかさない人を無意識に採用してしまうかもしれません。しかし人を採用することは、会社に対する大きな責任を伴います。自分が仮に将来移動や退職をした後も、その人に給料を払いつづけるのは自分ではなく会社です。誰かが自分の仕事を自分よりうまくやってくれれば、自分自身に自由な時間が生まれるし、嫌が応にも新しい事をやる事になり、結果押し出されて前に進む事ができます。組織も新陳代謝します。一番会社に不利益なのは、採用した人の教育に追われてマネージャーが前より忙しくなってしまうパターンです。それよりも「これからは私がやるから、あなたは新しい事をしてください!」という感じで、自分の仕事を奪ってくれる刺激的な人を雇う。そう思うと採用ってすごく挑戦的でクリエイティブな仕事ですね。面接に費やす時間と労力は膨大ですけれど。 2つ目は、カルチャーフィットです。カクタスは独自の文化がありキャラクターの強い会社なので、採用時には必ず本社人事部担当者も英語面接を行って、会社の文化と人格がマッチするかを細かくチェックします。その中でも日本社長の湯浅と私自身が面接する際に重視しているポイントの一つは、一言で言えば「オープンで、いいヤツ」かどうかです。分解すると、「根本的に性根がいい人か」、「心を開いてなんでも話せるか」、「誰の前でも本音をちゃんと言えるか」、「自分をとりつくろったりごまかしたりしないか」みたいなところを、いろんな角度から突っ込んで聞いています。正直な人は、失敗したときこそ隠さず人に相談するし、自分の利益のために問題を人のせいにしたりしません。背後で誰かの悪口を言ったり、派閥を作ったりもしません。派閥や政治はカクタスが一番嫌うカルチャーです。仕事上で同僚と衝突があって上司に相談しても、「文句があれば俺を通さず本人に直接言え」と一蹴されてしまいます。「うちは個性的な社員ばかり」と社員がよく言いますが、多分誰にでも個性はある。ただ、カクタスは周りの空気を読みすぎず、自分の個性のままに振る舞うことが出来る人を、より好んで採用しているのだと思います。それで、一人ひとりが自分のもっている個性を出し、それを見て皆が「うちって個性的な人が多い会社だよね」と言うのだと思います。 会社と人にはそれぞれ個性があり、どちらも変化します。時によっては経営方針やカルチャーが合わなかったり、その時の会社の力では支えきれない夢があって外に飛び立っていく人や、もっと居心地のいい場所を見つけてやめていく人も当然います。いつか会社が成長して新しい機会を作り出せる力をつけると、同じように力をつけていた以前の同僚が戻ってきてくれることもあります。人材採用は、未来は変化することを前提として、会社と人がお互いの接点を見つけ合う面白い仕事だと思います。 私自身も、7月から今年度立ち上がったグローバル・ブランディング部に異動になりました。RCS事業部に入った優秀な4名の新メンバーのみなさんに引き継ぎをして、今後は本社と日本を行き来しながら、新しいチームでカクタス全社のブランド・プロジェクトを回していきます。これは7年前にやりたくて手を挙げたけれど、社内のニーズも自分の実力もなく成就できなかった仕事です。再度チャンスをいただけたことに、感謝の気持ちでいっぱいです。自分の能力を超えた仕事におびえて悪夢ばかり見る日々ですが、失敗を恐れず人の期待のナナメ上をいく仕事をしたいと思います。 人事異動が多いカクタスですが、新しいポジションに着任したみなさんには、自分自身のために、会社から自分に与えられた役割を超えて、自分らしい仕事ができる未来を切り開いていっていただきたいと願っています。
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【誠のFACT】第12期を終えて~Reinvent yourself~

(湯浅 誠/カクタス・コミュニケーションズ株式会社 代表取締役)   去年9月末に最後のブログを書いてから8ヵ月以上が経ちました。この1年はただでさえ変化が多いカクタスで、私自身の業務や役割がそれまでずっと担当していた日本マーケットから中国マーケットに大きく変わり、また日本でも新規事業である研究広報サービスの開拓、それ以外にも今期から本格稼働させるためのグローバルブランディングチーム設立と土台作りと、やる事がダイナミックに変化する中、それに追いつき一つ一つ心の整理をするまでに時間がかかり、外に向けた情報発信が全くできていませんでした。ただ自分の弱さがどこにあるのか改めて良く理解できた時期でした。 当然ですがその中でも会社は毎日休むことなく動いていきます。3月末で第12期が終わり、先月末にようやく決算も終了し、社長としてはここから次期に入れます。弊社は小規模の会社ですが会計監査をしていますので、決算書提出までに中々のプロセスと時間を要しています。業績は毎度社員の皆さんが頑張ってくれて、概ね目標通りでほっとしています。これまでとの大きな違いは年間の売り上げ目標数字は、私ではなく各チームが担当してくれて、この12年間で初めて決算書類が整うまで最終数字がわからなかったことです(笑)。今でもカクタスグループで一番のシェアを持つ日本マーケットを担当するプレッシャーの中、頑張って結果を出してくれた社員一人一人に深く感謝しています。 去年4月から12月まで主戦場としていた中国では、生まれて初めて中国人の部下を持ち、また上海オフィスの皆と色々調整しながら、中国マーケットを勉強していきました。当然共通言語が英語ですが、お互いネイティブではないためコミュニケーションを取るのがインド本社と比べかなり大変で、また案外本音を言わない中国人の心境が理解出来ないなど、様々な苦労がありました。 中国マーケットで現地チームの立ち上げが完了したタイミングで12月に担当を離れ、今年4月から着任したグローバルブランディングでは、国・地域、事業を問わずカクタス・グループ全体のブランド戦略を担当し着々と準備を進めています。業務が日本・中国からグローバルに拡大した事で、中国以外にも韓国やシンガポールの大学関係者にお会いし現地の動向が知れた事、また最近では英国オフィスと一緒に仕事をしているので、留学以来のイギリスに行って現地の大学担当者向へ営業やインタビューをする機会に恵まれ、自分の活動の領域が広がり経験値が高まった気がします。日本マーケットだけ見ていると、どうしても客観的に日本を見ることが出来ないのですが、外から自分の目で見る日本、また人から見られている日本、いいことも悪いこともありのまま受け入れることができるようになりつつあります。ただ先月香港で開催された学術出版業界の国際会議でアジア地域の研究動向について発表を聞いていた時に「Japan is the ONLY country whose research output is declining globally」と何度も言われた時は流石に切なかったですが。。。 第13期から本格的にグローバルブランディング業務に専念する事になり、既に3月からほぼ毎月インド本社に出張をしています。今年は業務の性質上今までと違うステークホルダーと仕事をし、またClientがこれまではexternal(弊社サービスをご利用いただいている日本のお客様)中心であったのが、internal client(社内ユーザー)も加わりました。社内管理部署にいると相手は自社社員なので、彼らのために仕事をする事が増えます。以前は自分が会社から見るとinternal clientであって、「お客様がこれこれのサービスを求めているから開発してくれ」「日本は重要マーケットなんだから優先して対応してくれ」と発破をかける立場でしたが、今年度は社内でブランド戦略を必要とするすべての部署、マーケットからあれこれ依頼を受けてその対応に頭を悩ませる立場になりました。今まで自分自身がいかに社内でうるさい存在であるか、逆の立場になって気が付きました。 今年2月に本社で全マーケットの経営陣を集めて開催した3カ年計画では、カクタス・グループの代表、Abhishek Goelから役員全員に「リーダーは同じ仕事を3年以上続けてはダメ」と言われました。常に変化をしていく会社であると掲げている以上、最初に変わらなければならないのはリーダーなので、当然の話ではあります。ただ、去年から新しいロールに変わり、ここ最近で少し慣れてきて、今期、来期と頑張ったら次はまた別のロールに移るというのは実際大変なことですし、時には少し休みたいと思うこともあります。しかし会社がこれまで何とか成長できているのは常に変化していること、いつも上を目指しているからで、今後も同じように進んでいくことで会社もそして社員も成長していくのだと思います。 最近のAbhishek Goelとの会話で「If you are not growing, you are shrinking and it’s not fun」と彼が話していたことが非常に印象的でした。第13期も会社、そして自分自身がしっかり成長し、また会社の期待に応えられるように頑張ります。Reinvent yourself!
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