【誠のFACT】THE世界大学ランキング2023レビュー〜今や名実共に科学技術先進国になった中国の更なる躍進〜

(湯浅 誠/カクタス・コミュニケーションズ株式会社 代表取締役) 10月12日に今年もTHE大学ランキング2023が発表されました。このランキングの日本・中国・韓国の動向をを詳しく追いレビューを発表し始めて今年で5年目です。昨年書いたレビュー記事を自分で読み直しましたが、昨年と今年では大きな流れに違いはないと思いました。中国勢が引き続き勢いを伸ばし、日本は若干後退、韓国は全体ではなく、個々の大学が奮闘しているという感じです。 今年は去年より更に、THE大学ランキングへのマスコミの関心が薄い気がしています。毎年ランキングがリリースされた翌日にはある程度の関連記事が掲載されるのですが、今年はほとんどの記事がただファクトを簡潔に述べているだけで、日本の大学に向けて何かメッセージを発信している記事は見かけませんでした。いよいよ申請が開始する「大学ファンド」はこの大学ランキングの向上を目標にしているのですから、時期的なことを考えるともう少し高い関心があってもいいのではないかと思ってしまいました。今年の私のレビュー記事では、これまでのように全体比較をしてもあまり新規性はないと思いますので、マイクロ視点で気になるポイントを押さえておきたいと思います。 中国は100位に7大学がランクイン!注目すべきは飛躍を遂げた5大学 ちなみに、私は毎年THE大学ランキングが出ると、トップ大学のデータを手入力でExcelに入れてストックしています。過去4年のデータが蓄積されているエクセルを引っ張り出して今年のデータを入力すると、トレンドの変化がすぐわかるようになりました。まず気になったのはやはり中国勢です。 これまでは中国のツートップである清華大学(16位)と北京大学(17位)がうなぎ上りにランキングを上げていて、今回も現状維持とは言え文字通り世界トップクラスの順位です。今回注目すべきは、その後を追いかけている復旦大学、上海交通大学、浙江大学、中国科学技術大学、南京大学の大きな躍進です。 この5大学は5年前頃から上位200位にランクインしています(世界大学ランキングでは200位以下はまとめて発表されるためトップ大学は200位以内へのランクインを目指しています)。今年は復旦大学が60位→51位、上海交通大学はなんと84位→52位、浙江大学は75→67位、中国科学技術大学は88位→74位、最後に南京大学は105位→95位と念願の100位以内を実現しました。比較対象として日本の最高学府である東京大学は39位、京都大学は68位なので、中国のトップ5大学は京都大学より高い順位です。このレベルにランクインするためには、小手先の戦術を駆使しても達成できません。つまり、この5大学は教育と研究力で本当の意味で実力を上げた大学であると認識できます。 このシリーズで何度も言及してきたように、故安倍晋三氏が首相在任中に「日本の大学を世界大学ランキング100位内に10大学ランクインを目標にする」と掲げられていました。この目標は非現実的に聞こえたものですが、中国は今、既に7大学がランクインしています。200位以内には更に4大学(南方科技大学、武漢大学、華中科技大学、四川大学)が入っていますので、これらの大学が将来100位以内に入る可能性も否定できません。武漢大学がウィルス学で先端技術大学になるという、冗談ではない話が起きるのが中国だと思います。 教育と研究スコアのアップは、中国の着実な実力向上の現れ ではこの5大学、一体どのスコアが改善しているのでしょうか?教育、研究、被引用論分、産業収入、国際性の5つのスコアを詳しく深掘りし、紐解いてみたいと思います。今年と去年の数字を以下比較していきます。 2023 2022 増減比較 まず「被引用論文」スコアから見てみましょう。総じて中国の方が日本より高いですが、上の表で見ると、一部大学を除いて、去年と今年のランクアップの要因としては大きな影響を与えるほどの変化はありません。「中国は財力を背景に海外からスーパー研究者を雇用して被引用数を稼ぐ事で順位を上げている」という仮説をよく聞きますが、 このデータを見ると、被引用数の急激なアップが要因とは考えにくいです。「国際性」はコロナの影響で外国人留学生の受け入れが困難であったと思われるため、殆どがマイナスです。「産業収入」も、そもそもが高いためほぼ昨年と同じです。 私が注目したのは、「教育」と「研究」の2つのスコアです。増減比較表をみていただくとわかる通り、これらの5つの大学は、大学の根幹である教育と研究を着実に伸ばしており、それがランキングアップにもっとも大きな影響を与えているようです。「ランキングなどという指標に踊らされる事なく、本質的な部分にあたる教育と研究に力を入れるべきだ。その結果としてランキングは自然とついてくる」いう意見はよく聞かれますが、中国はその言葉通りにじわじわと本質的な大学としての実力を上げているのではないか?と私は感じました。「研究」は獲得研究費も指標の一つに入っているので注意が必要ですが、中国の大学を実際に訪問してインタビューをしてきた実感からも、お金だけの差でないことは確実に言えます。 弊社でもエディテージは中国市場で破竹の勢いで売上を伸ばしており、中国の研究活動量の多さを日々実感しています。この中国勢の勢いはまだまだ続きそうです。 これぞ韓国の真骨頂!私立大学の雄、延世大学の底力 「中国の話を長々と説明されても、予算規模や国の方針、人材が日本と違いすぎて参考にならない」。そんなお声をいただくと思いました。毎年同じ展開ですが、中国の次はお隣韓国の大学を見てみたいと思います。 韓国は去年と同様にトップ200位以内に6大学がランクインしています。顔ぶれも全く同じで、ランキングが若干上がった下がった程度の大学が大半です。そんな中、今年の注目ポイントは名門私立大学である延世大学の大躍進です!なんと、昨年の151位から78位と73位も順位を上げています!さっそく延世大学の過去5年のデータを見て、どこを改善したかを可視化していきましょう。 延世大学のランキング推移 教育、研究、被引用論文全てが改善傾向ですが、2022と2023で信じられない規模で改善しています。教育が12.1、研究が10.7、被引用論文が8.2もスコアが改善しています。2019年から年々少しずつ改善を重ねていますが、今回は本当に飛び抜けています。一体何が起きたのかとても気になります。数年前に一度延世大学にインタビューを行ったのですが、今回の劇的ランクアップを踏まえて、再度お話を聞いてみたいという思いが強くなりました。 延世大学もコロナの影響で国際性が下がっていますが、それでも国際性スコアは日中韓の大学の中でトップクラスです。ただ産業収入と国際性は過去5年の数字を比較しても大差はありません。既にこれ以上上げるのが厳しいレベルにいると思われます。 日本が参考にしやすいのは延世大学のような満遍なく実績を伸ばしている大学の事例でしょう。「韓国の大学は財閥などが入って産業収入が大幅に伸びているし、一点集中的なスコアの伸ばし方は参考にならないのではないか?」という意見もあるかと思います。私も以前はそう思っていましたが、実際に延世大学を取材した際に副学長の方から「私達は成均館大学のように大手財閥から多額の資金援助を受けているわけでも、ソウル大学のように国から援助を受けている訳でもなく、学費や自分達で獲得してきた資金で運営している、決して潤沢な資金ではない私立大学です」と伺い、印象を改めました。産業資金が入りやすいお国柄ではありますが、日本のトップ大学との資金に大きな差がある訳ではありません。その中で、着々と他のスコアを改善している延世大学の事例は参考になると思います。 おわりに 去年は被引用論文に焦点を当てた記事を作成しましたが、今回は総合力を上げている大学について取り上げました。とはいえ研究力アップを着実に行えば被引用論文指標は改善するので、この二つは連動しています。教育は研究の担い手(若手研究者)を育てるので、当然教育に力を入れると次第に研究力もあがっていきます。5年というスパンで変化を辿ると、ランキングを着々と上げている中国・韓国の大学は、一過性ではない本当の意味での底力をつけている事実が見えてきます。 THEは来年からランキング指標を変更します。一番の変更点は日本の弱点である被引用論文指標だそうです。弊社では今年前半にウェビナーを開催し、THEのChief Data OfficerであるDuncan Ross氏に指標変更について共有いただける情報をお話いただきました。次回の指標改定は日本の旧帝国大学に有利に働くと解釈していますので、来年のランキングを今から楽しみにしています。私の印象では5つの指標のうち被引用論文指標だけがきわめて高い大学は改定の影響を大きく受けると思いますが、今の中国トップ大学や延世大学のように教育と研究の力を着実にあげている大学は恐らくランキングを大きく下げることはないと思います。 個人的には、被引用論文指標よりも英語圏有利な現在の仕組みを変えていく必要があると思います。評価基準が英語なので、当たり前ですが英語圏が有利です。その証拠にアジアでも英語が普及している香港とシンガポールは大学の数が少ないですが、常に総合ランキング上位に来ています。真の教育、研究力を図る万能な指標は存在しないと思いますが、語学面を取り除いた形で勝負できたら、全く違う構想になるのではないでしょうか? 2年後には総額2000~3000億(想定)といわれる追加資金が限られた日本の大学に投入されると思われます。政府は巨額のお金を出す以上各大学には相応の結果を求めます。それは大学ランキングアップなのか、イノベーションの創出なのか?様々な憶測が飛び交っていますし、最初は少ない数のトップ大学のみが対象になるようです。賛否両論あるようですが、常に資金不足を叫んでいる日本の大学のために、研究資金の総量が増えること自体は歓迎したいところです。長期的には研究への国民の関心を高め、アカデミアの方々がよりよい形での資金注入方法を国と話し合い、日本の研究に再び活力を取り戻すお手伝いを、微力ながらできればと思っています。 THE大学ランキングレビューに関するこれまでの記事 【誠のFACT】THE世界大学ランキング2021レビュー〜日本の大学、戦うか闘わざるか、それが問題だ 【誠のFACT】東アジアの中でプレゼンスを失いつつある日本の大学と、ラディカルな経営改革の必要性〜THE世界大学ランキング2020分析〜 【誠のFACT】THE世界大学ランキング2019に見る、アジアにおける日本の立ち位置
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【誠のFACT】THE世界大学ランキング2021レビュー〜日本の大学、戦うか闘わざるか、それが問題だ

(湯浅 誠/カクタス・コミュニケーションズ株式会社 代表取締役) 毎年恒例であるTHE世界大学ランキングの2021年版が9月2日に発表されました。昨年はランキングにノミネートされた日本の大学数がアメリカに次ぎ2番目に多かったため、マスコミ各社が頑張ってポジティブな報道していたことを覚えていますが、今年は報道があまり盛り上がりませんでしたね。毎年恒例にしているこの私的THEランキングレビューも、そんな理由で執筆がついつい遅くなってしまいましたが、今年もちゃんと分析していきたいと思います! いまだ勢い止まらぬ中国、下降を続ける日本 今年のTHEのニュースがいまいち日本で盛り上がらなかったのは、もはや日本の大学についてのネガティブな情報を出し続けることに意味がないからかもしれません。今更どうにもできない現実であるからかもしれません。ランキングを経年的に見ればわかりますが、日本の大学のランキングは総じてまだ下がり続けており、それとは真逆に中国の大学はまだまだ伸びています。昨年は初めて清華大学が世界ランキングトップ20に入り、中国は大いに盛り上がりました。そして今年は清華大学だけでなく、清華のライバルである北京大学も20位以内に入り(何と今回は両大学が同スコアーで共に16位でした)、私の予想では5年以内にどちらかの大学は世界トップ10に入ると思います。 ランキングを伸ばした中国の大学の各スコアを世界のトップ大学と比較すると、唯一の死角は「国際性」です。しかしそれも、北京大学においては過去5年以上連続でスコアを伸ばしており、今年は65までアップしました。この流れが続けば5年後には70以上になると思います。今年の世界大学ランキング9位であるイェール大学(アメリカ)の国際性スコアが69.9なので、かなり近い位置に来ていると思います。つまり、中国のトップ大学は軒並みこれまで弱かった国際性の改善に乗り出しているというわけです。私は何も中国の大学を賞賛したいわけではありません。中国は国をあげて、大学ランキングに本気で勝ちに来ていると言いたいのです。本気度が違います。 日本は本気でゲームを戦っていない 日本も以前安倍元首相が「世界のトップ100に日本の大学を10校ランクインさせる」と発言されていましたが、その効果はなかったように思えます。私が常に気になるのは、日本はこのランキング・ゲームに本気で勝ちたいのかどうかということです。とりあえずみんなが参加するから参加して、少しランキングが上がればそれでいいと思っているのではないか?と感じてしまいます。このゲームにはルールがあるのです。ランキングに本気で挑み戦略を打つ近隣諸外国の大学に本当に勝ちたいのであれば、ルールを研究して同じ土俵に立たなければいけません。 あるいは、大学ランキングに本当に意味がないと思うのであれば、甘んじて相対的なランキングダウンを受け入れるのではなく、「我々は今の大学ランキングの仕組みには賛同できないので、大学として参加を見送ります」と意思を表明し、THEへのデータ提供を行わない選択肢もあるのです。そんな大学がもっと出てきてもいいかと思いますし、それはそれで既存のランキングシステムのあり方に一石を投じられ、話題になりそうです。しかし、もちろんそれは大学にとっては大変勇気がいる決断だと思います。 あらためてTHE大学ランキングの指標をおさらい 日本の大学のランキングへのスタンスはわかりませんが、ひとまず「勝てるなら勝ちたいと思っている」という前提で話を進めましょう。過去の記事で既にご紹介していますが、改めてTHEの大学ランキング指標について振り返ってみたいと思います。 THEランキングは以下5つの指標に基づき全体のスコアを算出しています。スコアの比重は全て同じではなく、比重の高い指標とそうでない指標があります。そのため、大学のランキング戦略担当はTHEが5つのうちどのスコアに重きを置いているのかを理解し、何をしたらそのスコアが改善されるのかを把握する必要があります。 5つのランキング指標 教育(比率:30%) 研究(比率:30%) 被引用論文(比率:30%) 国際性:(比率7.5%) 産業収入:(比率2.5%) この数字を見ると、最初の3つの指標がスコアを決める上で大変重要であることは明らかです。 引き続き大躍進の中国と健闘の韓国、はたして日本は? では2021年版ランキングにおける日本の大学と、中国・韓国の大学のランキングと各スコアを比較して見てみましょう。 ちなみに、今回は世界ランキング順で日中韓のそれぞれ上位20大学をピックアップして、平均値を出してみたかったのですが、その方法だと中国が高スコアになりバランスが悪いため、強豪が揃う各国の上位5大学だけを取り上げて国別に各ランキング指標のスコアの平均値を出してみました。対象となった大学(上位順)は以下です。 表1:日中韓のトップ5大学の世界ランキング順位 日本 中国 韓国 東京大学(35) 北京大学(16) ソウル大学(54) 京都大学(61) 清華大学(16) KAIST(99) 東北大学(201-250) 復旦大学(60) 成均館大学(122) 大阪大学(301–350) 浙江大学(75) 延世大学(151) 東京工業大学(301–350) 上海交通大学(84) 蔚山科学技術大学(178) ()は世界ランキング順位 表2:日中韓のトップ5大学のランキング指標平均スコア比較 ランキング指標 日本 中国 韓国 教育 64.72 75.54 57.48 研究 67.24 80.1 59.96 被引用論文 […]
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RA協議会第7回年次大会にて、Impact Scienceがランチョンセミナー「国際研究広報の意義と必要性-海外事例を元に-」を実施しました!

2021年9月14日(火)と15日(水)の2日間にわたり、RA協議会第7回年次大会が開催されました。RA協議会は、全国の大学等において育成・確保されてきたリサーチ・アドミニストレーター(RA)の新たなネットワークです。第7回を迎えた今回は、「組織の研究力強化はURAの活動で決まる!~情報収集・プロジェクト形成・外部資金獲得~」をテーマにさまざまなセッションを実施。当初は会場での開催とオンラインによるハイブリッド開催の予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の影響により、オンラインのみでの開催となりました。 URA業務に関心のある方を対象に行なわれた今回の大会で、Impact Scienceは2日目の15日にランチョンセミナーを開催。司会をImpact Scienceの竹村祥成、オーガナイザーを同じくImpact Scienceの長塚香織と森田桂花が務め、「国際研究広報の意義と必要性-海外事例を元に-」という演題で行なわれました。 講演では「なぜ今、日本において国際研究広報が必要なのか」という問いに2つの観点から答えました。前半部分では国際研究広報の効果を中心に解説。Impact Scienceが海外で手掛けた国際研究広報について事例を元に詳細に紹介したほか、各機関がどのような課題をきっかけに国際研究広報を行ったのか、その成果やインパクトはどのような内容であったのかについて、具体的な数値(オルトメトリックスコアやメディア露出数他)を交えながら説明しました。 また、講演の後半では国際研究広報をせざるをえない現状について解説しました。研究インパクトが大学に対する予算配分に作用する英国のREFのような動きが世界的に広がっており、日本もその影響下にあることを説明しました。 今回のランチョンセミナーには80名ほどの参加者があり、質疑応答では非常に多くの質問が寄せられました。前半部分に対する質問や意見はImpact Scienceが提供するものに対するものが多く、後半部分に関しては「今回紹介しなかった欧州や東アジアにもREFの影響は出ているのか」といった質問や、英国と日本という視点でのREFに関する先行研究は多いものの、そこに韓国中国という新たな軸を加えたことに関して評価する意見などをいただきました。双方向での活発な議論をすることができ、非常に有意義な時間になったことと思います。 さらにセッション後には、 「国際研究広報の必要性は感じているものの、どこからどうやって手をつけて良いのか分からないので大変参考になりました」 「研究成果をどのように評価すれば良いかということについて研究IRの立場から検討を重ねています。(中略)どのようなアウトプットやアウトカムがインパクトにつながるのか、また、そのようなインパクトはどのように表現されているかについて関心があり、ご講演の内容は大変興味深いものでした」 「日本語が主な発信主体となっているため、研究広報の方向性など、現在考えているところです」 「インパクト評価の動向に係る興味深いお話をいただきありがとうございました」 など、うれしいご意見をたくさんいただきました。 セミナーにご参加いただいた皆様、ありがとうございました! Impact Scienceは今後も出版社、ジャーナル、学協会、大学、そして研究者の皆様が専門家と一般市民の両方に科学コンテンツを魅力的な形で伝えるためのお手伝いをしていきますので、どうぞご期待ください。 https://www.impact.science/jp/
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「Customer for Life」で生み出す、カクタス・コミュニケーションズの新たなカスタマー・オブセッション

お客様に喜んでいただくことにこだわり続けてきたカクタスにとって、顧客第一主義の理念に新たな息吹を吹き込むことは難しいことでした。しかし、Customer for Lifeの下でまさにそれが実現されました。 ──ブランディング部門シニアマネージングエディター、アンセルモ・マートレス   2018年、カクタス・コミュニケーションズ(以下カクタス)のムンバイ本社移転時、カクティズン(カクタス社員)を迎えた新社屋の壁には、主に優れたカスタマーサービスに関するさまざまな格言が書かれていました。「お客様が求めるもの、それ以上のものを提供しよう」という言葉もあれば、「どれだけお客様のことを考えているかを知って初めて、お客様はあなたがどれだけのことを知っているかについて考えてくれる」という助言もありました。 2002年の創業時から、顧客第一主義はカクタスの重要な柱です。55万人の顧客基盤を持つ主力ブランドのエディテージでは満足保証制度を設けており、研究者の皆様に万が一、サービスにご満足いただけなかった場合、無料の修正対応、または全額返金をお約束しています。また、2020年に導入したカクタスの新しい行動指針「The CACTUS Way」の策定時、ワーキンググループは、長年にわたるお客様への取り組みを集約した以下の指針が必ず含まれるようにしました。 お客様を成功に導く。そのために、 自らできることの限界を超える。 *** 飲食業界や小売業界、航空業界で12年以上のカスタマーサービスの経験を持つルビーナ・パーカーがカクタスに入社したのは2017年のことです。品質およびカスタマーエクスペリエンスを担当する小規模チームの責任者として、カクタスにおける顧客中心の活動のスケールアップを任されました。 品質およびカスタマーエクスペリエンス部門のヴァイスプレジデント、ルビーナ・パーカー。Customer for Lifeの取り組みを推進する。 「任務は明白でした。新規で獲得したお客様を、カクタスの伝道師に変えることです」とルビーナは言います。「ご注文番号や顧客コードの向こう側にいる実際のお客様を認識したいと、私たちは考えました。お客様の願望や動機、感情について知りたい、と。お客様の信用を得ることは大切ですから、ぜひとも信頼できる相談相手になりたかったのです」 この目的が明確になると、ルビーナは改善を要する領域を把握し始めます。最初の課題は、あらゆる取り組みを一つの傘の下に収めることでした。 「カクタスではこれまで18年以上にわたり、お客様対応の取り組みをいくつか実施してきました。どの部署にも顧客中心の目標がありましたが、各部署内だけで目標に取り組んでいました。それぞれを結びつけ、そのリソースを有効利用することが重要でした」とルビーナは語ります。 こうして生まれたのが「Customer for Life」です。Customer for Lifeでは、マーケティングやオペレーション、カスタマーサービス、テクノロジーといった部署のサポートを受けながら、一つのチームが顧客中心の取り組みすべてを明確にし、統括します。 *** カクタスでは創業以来、顧客中心の考え方を全従業員に浸透させ、お客様へのコミットメントを常に意識させてきました。新入社員にはオリエンテーションプログラム「Genesis」でカクタスの顧客第一主義を教えています。けれどもルビーナとチームは、カクティズンがCustomer for Lifeに楽しさを感じられるようにしたいと考えました。 そこでチームは、お客様を見守るカクティズン一人一人を象徴するスーパーヒーロー、ヒロインのマスコット「キャプテン・カクタス」を登場させました。Customer for Lifeはマーケティング・キャンペーンとして始動し、部門会議で話し合われ、アイスブレイクで紹介され、カクティズン全員にメールで通知されました。ルビーナはまた、変化に影響を与えることができる人々とお客様の声を共有する一連の会議「Voice of Client」をスタートさせました。 Customer for Lifeチームがアウトリーチ活動の一環として登場させたマスコット、キャプテン・カクタス。 *** Customer for Lifeを支えるコアチームは、ビッグデータとテクノロジーを非常に頼りにしています。過去4年間にエディテージのお客様から寄せられた約1万5千件のご意見を調査し、一部の市場でご不満のあった決済処理サービスの変更から、ご満足いただけなかったお客様のための再チェックの迅速化まで、いくつかの対策を成功させました。 「AIや機械学習などの技術を社内で利用できるので、私たちはデータ収集やお客様のニーズ調査、カスタマーエクスペリエンスの向上に新しい技術を活用する方法を探っています」とルビーナは話します。「当社は世界中で55万人を超えるお客様にサービスを提供していますが、求めるものはお一人お一人違います。私たちの目標は、それぞれのニーズを十分に満たし、他にはないカスタマーエクスペリエンスを提供することです」 Customer for Lifeをこの規模で実現できたのは、アビシェック・ゴエル(カクタスの共同創業者でCEO)とヴィカス・ナラン(エディテージの最高執行責任者兼代表)の支援のおかげだとルビーナは打ち明けています。 アビシェック・ゴエルはかつて日本に滞在中、「お客様に喜んでいただく」という優れたカスタマーサービスの忠実な支持者になりました。カクタスの共同創業時にはカスタマーサービス部門(後にカスタマーディライト部門に改称)の設立を自ら監督し、初期の従業員に顧客第一主義を教えることに尽力しました。 ヴィカス・ナランは2014年から2015年までアマゾンに勤務し、同社の定評あるカスタマー・オブセッションに精通するようになりました。お客様の声を優先させるカクタスとアマゾン両社のやり方に多くの類似点を見出したヴィカスは、顧客に対するカクタスのコミットメントに魅力を感じ、入社を決意するに至ったと話しています。 アビシェックとヴィカスはCustomer for Lifeを社内の最重要課題に据え、職場文化に不可欠なものになるまでアドバイスやサポートを提供しました。 *** Customer for Lifeの活動の規模を考えると、もっと現場に目を向け、声を聴くことが大切だというルビーナの考えにより、Customer for Lifeの推進を助ける「アンバサダー」の任命も開始されています。「任命されたカクティズンには、お客様の成功事例の特定や各チームにおけるお客様への意識の向上、懸念事項への注意喚起を手伝ってもらいます。ビジネスの手段やタッチポイントが異なる多様なアンバサダーを採用することで、私たちはカスタマーエクスペリエンスに対しいろいろな視点を持ち、より創造的なソリューションを提供することができるでしょう」とルビーナは述べています。
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科学の物語を伝える:インフォグラフィック

科学と芸術は、宇宙を構成する2つの異なる要素でしょうか?それとも、決定的に絡み合っているのでしょうか?科学的なレポートに芸術のしずくを一滴落とすしたら、何が起こるのでしょうか。 Impact Scienceが手掛けた他の制作物は、こちらのURLからご覧いただけます。https://readymag.com/u74538348/1768922/   コンテンツ&スクリプト:Rachana Bhattacharjee ビジュアル&アニメーション: Vinita Sethuraman
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出版社、ジャーナル、学協会のあらゆるニーズを一つのプラットフォームで解決

(ニケシュ・ゴサリア/カクタス・コミュニケーションズ株式会社 学術・出版社部門)   カクタスにとって、出版社、ジャーナル、学協会(PJS: Publishers, Journals, and Societies)は数年前から重要なセグメントとして認識しています。私たちは業界屈指のビッグネーム、つまり学術出版を取り巻く環境を形成するキープレイヤーの皆様のパートナーになりたいと考えました。 私は、そうしたキープレイヤーの現状を理解し、ニーズを満たすカスタムソリューションを見出すチームを構築する任務を与えられました。PJSセグメントのニーズは変化に富んでいます。例えば、以前の出版社は研究論文の審査と発表のためのポータルでしかありませんでした。しかしここ十年ほどで、多くの出版社がオープンアクセス・ムーブメントによってもたらされたパラダイムシフトを受け入れ、提供するサービスを拡大し始めました。 カクタスはこうした変化に対応し、出版社、ジャーナル、学協会の皆様に新しいエキサイティングなソリューションをご利用いただけるようにしたいと考えています。このたびカクタスの新ウェブサイトを全主要マーケットで始動させたことを大変うれしく思っています。これらのウェブサイトでは、一つのプラットフォームで当社の全ソリューションを提供しているだけでなく、訪問者が特定のセグメントに基づいてソリューションを検討できるようにしています。出版社、ジャーナル、学協会の皆様に、当社のサービスブランドであるエディテージ(Editage)やインパクトサイエンス(Impact Science)が提供するおなじみのソリューションに加え、研究者向け統合エコシステムのアール(R)が提供する新たなソリューションや、アンサイロ(UNSILO)が開発したワークフロー・ソリューション、カクタス・ライフサイエンス(Cactus Life Sciences)が提供する情報発信・普及ソリューションに関する情報を、すべて専用ページからご覧になっていただけるのです。 パートナーの皆様には、当社が提供するソリューションをぜひじっくりご検討いただければ幸いです。ニーズを満たすソリューションが見つからない場合は、ご要望にお応えできるよう、喜んでご相談を承ります。 もちろん、ウェブサイトやサービスに関するご意見・ご感想もお待ちしております。   グローバルサイト:https://cactusglobal.com/ 日本語サイト:https://cactusglobal.com/jp/ 韓国語サイト:https://cactusglobal.com/kr/ 中国語サイト:https://cactusglobal.com/ch/    
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