【誠のFACT】リモートワークで人生を最適化する、働き方の3つのボーダーレス化

湯浅 誠 /カクタス・コミュニケーションズ株式会社 代表取締役   新型コロナウイルス感染症の影響で、在宅勤務を推奨する企業がかなり増えたと思います。カクタスでは、すでに3年前から全部署で在宅勤務ができる体制にしており、今回も非常事態宣言が出された4月7日よりも1ヶ月早い3月から、早々に全社員を原則在宅勤務に移行させることができました。6月になり宣言は解除されましたが、引き続き在宅勤務を継続しており、7月以降はこの経験を踏まえ今までとは違う新しい勤務形態を導入する予定です。 東京に外出自粛要請が出ていたこの3ヶ月間、私は家族を連れて静岡にあるマンションから仕事をしてきましたが、その中で色々な発見や学びがありました。6月から子供の幼稚園が再開するとのことで5月末に都内に戻ってきましたが、この機に改めて居住地に対する考え方、仕事とプライベートの垣根についてあれこれ考え、実際に様々な方法を試していました。その結果、これまで当たり前だと思っていた働き方の大部分が思い込みにすぎないと気づきました。たどり着いた、人生を最適化するための働き方の3つのボーダレス化についてまとめました。   (1)都心と地方のボーダレス化 滞在していた静岡のマンションは高地にあるため周りにお店が一切なく、近くのスーパーまで車で20分以上はかかります。遊び盛りの子供に欠かすことのできない遊び場も歩いていける距離にないため車での移動が必須です。そういった利便性のデメリットはあるものの、田舎暮らしは家からの景色が抜群で、マンションの窓から大きくそびえたつ富士山を眺めることができたり、大きな公園で好きなだけ子供達をのびのび遊ばせられるなど多くのメリットもありました。 都会を3ヶ月離れてみると、東京と地方暮らしのどちらが自分や家族に向いているのかと疑問がわいてきました。私にとって都内に暮らす一番の理由は会社と家の近さです。これまで経営者として、いざという時にオフィスにすぐに行ける距離に居を構えることを重視して来ましたし、実際、東京の家はオフィスから徒歩圏内に置いています。 仮にリモートワークを継続する場合、この理由が今後意味をなさなくなります。会社に毎日行く必要性がなくなるのなら、東京の狭い家で暮らす意味はあるのか?子供達の教育には自然があり、わいわい遊べる田舎の方がいいのではないか?急に今まで頭になかった、東京から通勤圏内にある環境のいい田舎に永住するという選択肢が生まれたのです。実際、家族と一緒に将来住みたい土地と物件をかなり調べて絞り込んでみました。移住するとなると子供の学校をどうするかという問題があるのですぐには決められないですが、今後の人生の選択肢が増えたことは確かです。 これまで人々の生活拠点は、職場=仕事を中心にデザインされてきました。東京に会社があるから都心から1時間半以内で通える場所で暮らし、生活の半径を仕事に支障がでない距離に合わせてきたはずです。しかし、職場=仕事ではなくなり、職場=自宅という発想で生活をデザインすると、人生の可能性が一気に広がります。仕事を続けながら、必ずしも仕事を人生の中心に置くことなく、やりたいことや趣味、住みたい場所、家族の夢を働きながら同時に叶えられるかもしれません。例えば湘南や千葉の海で朝サーフィンを楽しんでから自宅で仕事をし、週1回オフィスに出勤する、なんてライフスタイルも難しくありません。そうなれば、会社に時々来て同僚とキャッチアップすること自体も楽しみの一つになるのではないでしょうか?   (2)仕事とプライベートのボーダレス化 さて、未就学児をお持ちでリモートワークをしていた方には共感していただけると思いますが、子供の世話をしながら仕事の時間を確保するのは簡単ではありません。私自身、毎日買い物と子供達を公園に連れていく任務があり、車での往復を含めると毎日2時間は勤務時間中に外出する必要がありました。元々出張や外出が多いので移動の合間に携帯からメールをチェックする事はありましたが、ミーティングは度々拒否せざるを得ませんでした。当初は皆が仕事をしている時に自分だけ外出している事に罪悪感を抱き、それが「自分は果たして職務を全うできているのか?」という自己疑念へ発展し、完全に自信を亡くしてしまった時期がありました。 本社HRに紹介してもらった外部カウンセラーに相談したところ、彼女は私の話を聞いた後でこう言いました。「あなたと同じ問題を抱えている人は今世界中にたくさんいます。でも罪悪感を持っても何も意味はありません。仕事にとって大切なのは、かけた時間や働いた場所ではなく、どんな結果を残せたかです。子供との時間を十分取って、結果的に仕事ができればそれでいいし、罪悪感なんて変な感情を挟む必要はないと思いませんか?それよりも、この現実を受け入れて、与えられた環境で効率的に仕事をする方法を確立するべきではないでしょうか?」この言葉で、自分がいかに「こうあるべき」という思い込みで仕事をしていたかに気づいてハッとしました。 それから早速、自分らしい仕事のサイクルの確立に取り組みました。まず毎朝普段より1時間早く起きて、9時にはメール返信を全て終え、午前中に子供を連れて公園へ。子供に昼食を食べさせ、午後から夕方までまた仕事。夕方にスーパーへ行き、家族と夕食を済ませた後の8時から10時過ぎを仕事に当てる・・・という早朝・午後・夜の3サイクルを作りました。仕事とプライベートのボーダーラインを限りなく取り払うことで、時間にとらわれず必要なことを必要な時に行う、新しいライフスタイルにシフトしつつあります。 とかく日本では9時5時の概念が強く、遅刻せずに会社に来て、勤務時間以上に頑張って働くことがよしとされる労働文化があったと思います。しかしリモートワークが浸透すれば、何時間働いたかよりもどんな結果を残したか、つまり本当の個人の実力がもっと評価されていくでしょうし、日本がそういう社会になることを期待しています。その代わり、社員にはその自由と引き換えに、自分で自分の日々の仕事とスケジュールをマネージメントして結果を生み出すための自律が求められます。同時に、上司は離れた場所で過剰管理になることなく、自分の部下の才能とパフォーマンスをどう引き出すのか、リーダーとしての実力が問われます。立場に関係なくキーとなるのは、前提としての会社と社員の信頼関係です。   (3)デスクとモバイルのボーダレス化 当然、中には時間調整が厳しい打ち合わせもあります。例えば取締役が集まる重要な会議には、さすがに「子供を公園に連れていくのでリスケをお願いします」とは言えません。そこで、家族と日中外出する時もパソコンを常に携帯して、遊んでいる子供を視界に入れながら公園の駐車場でミーティングをしたり、運転中にスマホを使ってハンズフリーで会議に参加するようになりました。 時間と場所にとらわれない働き方においては、仕事ツールのモバイル化も重要な鍵でした。パソコンは一定時間デスクで働くことが前提のツールです。しかし1日のうち誰にも邪魔されない仕事の時間を確保することは至難の技です。移動しながら働くためには、スマホが大変重要な役割を担います。 そこで、仕事に必要なアプリを全てスマホにインストールして、パソコンと遜色ない作業環境を作りました。スマホは車で充電できるので、いつどこでも仕事ができるようになりました。私の場合、ものを考えて判断し人に指示を出すことが仕事の大半を占めるので、これでかなり事足ります。今では「仕事のモバイル化」そのものが自分の趣味となり、パソコンが横にあるのにもかかわらずあえて小さいスマホ画面に向かってポータブルキーボード(しかも折り畳みができる超軽量版)と携帯ホルダー(これも折り畳み可能)で仕事をしたりと楽しんでいます。 もちろん全ての人がパソコンなしで用を足せるとは思っていません。しかし自分が置かれた環境ともてるツールを駆使して、どうしたら仕事とプライベートを両立するために環境を最適化できるかを本気で考えて工夫すれば、誰にでも自分に合った働き方を見つけることは絶対に可能だと思います。 これまでは、オフィスにいる時間が働いている時間、家では家族との時間、外出中は特別な用事を済ませる時間、と明確に切り分け、隙間時間は仕事の時間としてカウントされていなかったと思います。それが今やテクノロジーを駆使することで、どこにいて何をしていても、細切れの時間を利用して仕事ができるようになったのです。企業はこの機に社員一人一人のライフスタイルに合わせて、彼らがどこにいても仕事ができる環境を提供する努力をすべきだと思います。一方で社員もまた、これまで失われていた隙間時間をいかに活用して仕事の生産性をあげられるかを考え、会社に積極的に最適化を提案していく努力が必要です。企業と社員が協力し合い、ベストな環境整備をしていく必要があると思います。   最後に:自分にとってのニューノーマルを発見するために リモートワークによるボーダレス化のポジティブな点ばかりを取り上げて来ましたが、最後に一つ大切な点があります。リモートワークによって得られる自由と引き換えに私たちが同時に受け入れるべき変化は、プライベートと仕事の統合であるということです。従来の勤務時間にプライベートな活動を組み込む自由を得るということは、同時にプライベートな時間に仕事の責任を果たす義務も伴います。 最近は海外オフィスとの仕事がメインなので、夜遅くにスマホに突然仕事のチャットや電話が来ることは日常茶飯事です。日中に子供の世話をしている時も、他のスタッフの仕事に影響が出ないよう、メールは常時チェックして、瞬時にレスをしています。必要があれば電話をかけ、家族と過ごす時間に仕事の長話をすることもあります。何事にも対価はつきものですが、自由な暮らしが謳歌できるのであれば、100%仕事とプライベートを分けない生き方も選択肢になると思います。自分のアイデンティティを分裂させるあらゆるボーダーラインから自由になり、1日の中に仕事や趣味、家族などの多様な生きがいが時間と場所を超えて分散された、新しい生き方の可能性が開けるのではないでしょうか。そこには、今までより人間らしい暮らしが待っているかもしれません。 新型コロナウイルスの蔓延を機に生まれた働き方のニューノーマルを実現するためには、行動パターンの変更と共に、人々のマインドセットの変更も必要になると思います。皆さんの会社がどのように変わっていくかわかりませんが、カクタスは常に時代によって変わっていく会社にしたいと思います。そのために重要な点は、世の中にはすでに、自分がしたい働き方を実現するためのシステムやテクノロジーが存在する事を知る事です。それらを有効活用して、古い慣習や精神論にとらわれず、仕事をとことん効率化、軽量化させること。この発想なくして自由な働き方はないと言えるでしょう。
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【誠のFACT】「研究支援サービス・パートナーシップ認定制度」は大学と民間企業の新たなコラボレーションの流れを生み出すか?

(湯浅 誠/カクタス・コミュニケーションズ株式会社 代表取締役)   カクタスの国際研究広報事業、Impact Science(以下、インパクトサイエンス)が、文部科学大臣が認定する「研究支援サービス・パートナーシップ認定制度」の研究支援サービスとして採択されました。 ※文部科学省サイト「研究支援サービス・パートナーシップ認定制度」 認定企業一覧 今回認定を受けたインパクトサイエンスは、これまで私のブログでも何度か「研究プロモーションサービス」として紹介してきた弊社事業の新しいブランド名です。カクタスはこれまで英文校正・翻訳・論文投稿支援を扱う「エディテージ」で知られており、この事業をご存じでない方もたくさんいらっしゃるかと思います。インパクトサイエンスは、その名の通り研究成果のインパクトを最大化するため、新しい科学的発見や知識を世界に伝え普及させるためのサポートを行うサービスです。国境を越えた研究コミュニケーションを通して、国内外の研究者や政府、企業、市民などの幅広いステークホルダーを繋ぎ、学際的なイノベーションの創出をサポートしています。 カクタスの日本法人では、2013年に始動したサイエンストークスを皮切りに、科学コミュニケーション活動を細々と行ってきました。サイエンストークスは、研究に関わる全ての人が立場や所属先に関係なく、日本の研究を一緒に盛り上げるために、共に活動をしていくフォーラムです。この活動を通じて私たちを知った方々が科学コミュニケーションの面白さと価値を感じてくださって、2015年ぐらいから「研究プロモーション動画を作りたいのだけれど…」「ジャーナルのホームページ制作をお願いできないか?」「英語プレスリリースの執筆も対応していますか?」といったご相談をいただくようになりました。 研究の国際化が急速に進み、大学が国際的認知度とレピュテーションを強く意識し始める中、もしかしたら今後研究情報を海外に発信するニーズがどんどん強まるのではないか?その風を受けて、私たちは2017年から研究コミュニケーション事業を新しく開始し、2019年には本社に各研究分野サイエンスライターとクリエイターを抱える専属チームを立ち上げ、インパクトサイエンスというブランドとしてリニューアルました。現在では、ヨーロッパ、日本、中国、韓国において、学術出版社・ジャーナル、大学・研究機関などのお客様にサービスをご提供しています。 そんな折に開始された今回の文部科学省による「研究支援サービス・パートナーシップ認定制度」の募集、まさにタイミングが絶妙でした。エディテージとしては研究支援の18年の実績がありますが、インパクトサイエンスは立ち上げから間もないブランド。実績は当然少ないものの、これまでの活動で積み上げてきた経験値と、私たちの企業としての姿勢、そして今まさに高まる大学のニーズを考えれば、確実にプロフェッショナルな研究支援をご提供できると判断して、認定に応募することにしました。 昨年度に入社してくれたスタッフの中に、以前に大学職員として活躍していた、いわゆる書類作成のコツを熟知している経験者がいたこともあり、これもまた幸運に恵まれました。「天は自ら助くる者を助く」ということわざがありますが、この数年、もがきながらも色々な事に挑戦し、お客様から「こんなことをやりたいので手伝って欲しい」と相談が来れば、新しい分野の依頼でもサポートする方法を考え、走りながら考えるスタイルで新事業を運営してきました。昨年度の初旬には、まだ売上もままならない状態でしたが、私たちがやっていることには必ず将来ニーズがあると強く信じて、思い切って日本と本社でチームを立ち上げました。あの時の判断は正しかった、とようやく思えるようになりました。 この場を借りて、このような認定制度を開始してくださった文部科学省の関係者の皆様にお礼申し上げます。とりわけ日本ではこれまで、国の機関が特定の民間企業を認定することに少なからず抵抗があったと思います。常日頃から民間企業として国立大学に出入りしていますと、しばしば「国の機関は民間に対して公平であるべき」という考えが深く根付いていて、自社の実績や品質、サービスにかける思いが評価の対象にならないことがしばしばありました。一生懸命契約を詰めたプロジェクトでも、公平性を保つためと最後に複数企業との共同になるケースや、料金のみで評価されるケースが非常に多いことを痛感しておりました。文部科学省認定ロゴを使わせてもらう事がどれほど重みのある事か、これはアカデミアの周辺で20年近く従事している私達には身に染みて感じることです。 そしてこの認定制度を通じて他の企業さん達と新しい交流やコラボ、協業が活発に行われていく事を楽しみにしています。認定を受けた企業のリストを拝見すると、既にこの業界で交流のある企業さん達がいくつかあります。まだやりとりのない企業名もありますが、この制度が何年も続けばたくさんの研究支援系の企業の方々と知り合いになれますし、お互いのノウハウを共有し合うことで、日本のアカデミアを下支えするもっともっとイノベーティブな支援を展開することができるのではないかと思います。日本の科学技術振興のために、民間企業が大学と一緒にできることは無限にあるはずです。 今は、政府、大学・研究機関、研究者、民間企業が立場の垣根を超えて知恵を振り絞り、最善の活動を行っていくことが重要だと思います。今回、文部科学省で始まったこの認定制度という面白い試みが新しい流れを作り、「やはりこの認定制度を開始して良かった。研究を支援する新しいサービスや製品がどんどん生まれてきたね」と思ってもらえるように、私たちもチームの皆さんと共に頑張っていきたいと思います。
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カクタス・コミュニケーションズ、5年連続で「リモートワーク導入企業」上位20社にランクイン

カクタス・コミュニケーションズ(以下カクタス)は、求人検索サイトFlexJobsの世界ランキング「2020年に注目すべきリモートワーク導入企業トップ100」で第16位に選出されました。このランキングは、FlexJobsのデータベースに掲載された世界5万4000社以上の企業とそのリモートワーク求人履歴を分析した結果に基づいています。FlexJobsによると、リモートで働きやすい仕事を他社よりも提供している企業を明確にしたとのことです。 カクタスがFlexJobsの世界ランキング上位20社に選ばれたのは今年で5回目です。科学の進歩を促すテクノロジー企業であるカクタスは、世界中から優秀な人材を呼び込むことに熱心に取り組んでおり、リモートワークがニューノーマル(新しい常識)となる以前から、この働き方の提供と奨励を開始していました。今日では、フリーランスのサイエンスライター、校正者、翻訳者のコミュニティとしては世界最大の規模を誇っています。 カクタスの採用情報はこちら:https://cactusglobal.com/careers/
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【誠のFACT】これまでの人生を振り返ってみる

(湯浅 誠/カクタス・コミュニケーションズ株式会社 代表取締役)   先日インド本社で行ったリーダーシップ研修会が非常に興味深く、自分自身の振り返りに役立ったので書きたいと思います。カクタスグループは設立から17年目の現在、世界7ヶ国に現地オフィスを持ち、1,000人近くのスタッフが働く会社に成長しました。私自身は設立2年目にインドで働き、5年目からは海外初拠点日本オフィスに在籍しているので、これまでの成長を会社と共に経験してきました。 信じられないスピードで変化する会社で、創業者であるゴエル兄弟以外はリーダーシップの入れ替わりが何度もあり、自分が今もそのグループにいることが奇跡のようです。今年度もまたリーダーシップの変更があり、新たにCACTUS leadership groupが結成されたため、今回全員の結束を強めるための研修会に参加しました。 毎回、研修会があると事前にたくさんの宿題があるのですが、今回はなかなか大変な課題が来ました。「自分自身のこれまでの人生を振り返り、5年ごとに起きた出来事(いい事・悪い事)、そこで感じた事、それらが今の自分自身の性格形成にどう影響を与えたか、印象的な人物は誰で、それはなぜかをこと細かに書き出し、一人1時間半を使って自分の人生について語りなさい」という宿題です。インドへ向かう約9時間のフライトの機内でずっとこの課題に取り組んでいました。誰でも時折自分の人生について人に語ることはありますが、まさか生まれてから今日までの人生を詳細に話す機会があるなんて考えてもいませんでした。まさに「自分自身を他の仲間の前でさらけだしなさい」という課題です。 はじめは幼少期の思い出がなかなか浮かんできません。とにかくやみくもに思い出してみるのですが、どうしても思い出せないので、エクセルに年号と自分の年齢をすべて書きだし、思い出せる年から入力してみました。すると最初は出てこなかった思い出がどんどん蘇りました。私の幼少期はとても人様に語れるようなものではないので割愛しますが、高校までの自分の思い出に共通していたのが「不安、妬み、劣等感」とネガティブな感情ばかりでした。途中なんとかいい思い出がないか自分に問いかけても、やはり出てきません。ちょっとした喜びはもちろんありましたが、とりわけ人に語るまででもない些細なものばかりです。 両親や親族がこの記事を読んでいないことを祈りますが、事実がどうであったにせよ、私の記憶の中では、15歳まではNot happyな人生であったようです。その後の人生において内面的な変化はありましたが、やはり自分に起きた幸せな出来事よりも辛い出来事のほうが記憶の中では優勢で、仮に同じ年にいい思い出はあっても、辛い思い出の影響力が強いようです。 嘘をついても仕方ないと開き直り、ありのままの人生を綴って当日を迎えました。現在CACTUS leadership groupのメンバーは9名で、このセッションは一人の持ち時間が1人90分、合計単純計算で810分、実際は15時間の長丁場でした。私以外全員のメンバーがインド人なので、育った環境が違うため理解できない所もありましたが、一人一人の話を聞いていると、アップダウンはあれ概ね人生を前向きに捉えている人がほとんどでした。現在の私は決して悲観的ではなく、どちらかというと楽観的だと思いますが、他のメンバーと比較すると、自分の心の奥には陰が宿っているのだと強く感じてしまいました。似たように辛い経験をした人の話を聞いても、当初は辛くても、その運命をしっかりと受け入れているように思えました。 自分と彼らの違いはなんだろうか、とこの研修会の間に何度も自問自答していましたが、自分なりに出た結論は「許せていない事がまだたくさんある」でした。すべて過去の出来事で現在の私の人生に影響はないはずなのですが、裏切られた記憶、強制された記憶、バカにされた記憶などがいまだに心の奥に眠っているようです。「同じ辛いことが過去に何度も起きたから、将来また起きるのではないか心配なんだ」と正直な思いを語ると、他のメンバー数名が「そう思うこと自体がまた悪い出来事を呼び込むから、考え方を変えた方がいい」「ここでその感情は断ち切った方がいい」とフィードバックをくれました。 10年以上前に「ザ・シークレット」という本で読んだことを思い出しました。「無意識に思う事が現実に起こる。頭の中が常にプラスであればいい事しか起こらない、逆にマイナスな事を考えるとそれが実現する」という話です。そんなのバカげている、と言ってしまえばそれまでですが、不安であっても何の解決にもなりませんし、このマイナスな発想自体を変えるいいチャンスだと思いました。 今回の研修会は自分自身の性格を変える機会だったのだろうと締めくくりました。私はこの研修を一つの人生の転機として、過去に起き忘れた自分の気持ちと向き合い、変わっていこうと思います。今まで自分が許せないと思っていた人や出来事とここでお別れをして、常にプラスに考えます!またダメダメだった幼少期の自分も許します! I forgive you. I forgive myself. And I move on! 皆さんも時間を取って一度自分の人生を振り返ってみてください。もし私のように記憶の中に埋もれたネガティブな自分がいたら、それを開放してあげてください。自分の人生を変えられるのは自分しかないので、一緒にポジティブな未来に変えていきましょう。
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【誠のFACT】東アジアの中でプレゼンスを失いつつある日本の大学と、ラディカルな経営改革の必要性〜THE世界大学ランキング2020分析〜

(湯浅 誠/カクタス・コミュニケーションズ株式会社 代表取締役)   9月11日にTimes Higher Education(THE)の世界大学ランキング2020が発表されました。私はここ数年、韓国・中国の大学の躍進に注目しています。昨年のRA協議会第4会年次大会で行ったランチョンセミナーでは、ランキングが劇的にアップした韓国の大学事例を取り上げてその要因を発表し、ブログでも記事を書きました。また弊社が刊行している季刊誌Blank:aの最新号は、国際化が著しい中国の浙江大学の特集を組みました。今年と昨年のデータを改めて比較していると、やはり今年も日本の大学のパフォーマンス低下が気になります。 THE世界大学ランキングは、200位までの研究機関について総合点数が出るため、大学は200位以内へのランクインを目指しており、そこから100位内、50位以内へと目標を上げていきます。韓国の大学を取材した際も「まずは200位以内へ」を目標に掲げているケースが多かったです。そこで、まずは200位以内にランクインしている東アジアの国別研究機関数をTHE2020とTHE2019で比較してみました。 以下の表をご覧ください。 Googleスプレッドシートのダウンロードはこちらから THE2020(Global TOP200) 23機関(中国:7、韓国:6、香港:5、日本:2、シンガポール:2、台湾:1) THE2019(Global TOP200) 22機関(中国:7、韓国:5、香港:5、日本:2、シンガポール:2、台湾:1) 昨年から唯一Top200位入りの大学数を増やしたのは韓国で、躍進が続いています。中国の台頭に注目しがちですが、地道にランクアップをしているのは実は韓国の方です。 次に、東アジアの大学だけに絞ってTOP30位に注目してみましょう。 THE2020(東アジアTOP30) 30機関(中国:10、韓国:8、香港:5、日本:4、シンガポール:2、台湾:1) THE2019(東アジアTOP30) 30機関(中国:9、韓国:7、香港:5、日本:6、シンガポール:2、台湾:1) 中国、韓国のランクイン大学数は1大学ずつ増えています。一方で、日本は2大学減っています。香港、シンガポール、台湾は人口規模、大学数などの規模が小さく日本との比較が難しい、その逆に中国では国策の影響で注ぎ込まれている予算・人員の規模が大きいため比較の対象にならない、という議論は成り立つかもしれません。しかし、韓国の躍進と日本の苦戦が同時に起きている事実はこうした国の規模や条件の差では説明がつきません。なぜなら、ランクインしている日本の4大学は全て国立大学ですが、一方の韓国8大学の実に半数が私立大学であり、国の予算の影響を受けていない大学だからです。 韓国の大学の成功要因がどこにあるのかは直接各大学に聞かないとわかりませんが、韓国が強いスコアは共通しています。取り立てて顕著なのはIndustry Incomeですが、ここ数年の変化ではなく、また特に韓国の大学は産業との関わりが強いので、近年のランクアップに大きく寄与しているとは考え難いです。意外に思われますが、実はInternational Outlookがどんどん改善されています。とりわけ今回東アジアの私立大学は全てスコアが50点以上で、60点以上の機関もあります。International OutlookスコアがTHEのランキング全体に占める比率は7.5%と決して高くありませんが、国際化はCitationなど別の指標に間接的に影響を及ぼすので注目が必要です。日本の研究機関の殆どは、このInternational Outlookが 30点台です。韓国も5年前はほぼ全ての大学が30点台でしたので、この数年で相当力を入れたのだと思います。 そしてその影響か、被引用数も韓国は日本より高いスコアをみせています。東大の60.7点が日本の大学で一番高いスコアですが、東大と比較されるソウル大学が66.5点、また90点台の機関もあります。東アジア30位にランクインしている韓国8大学中、なんと5大学が東大より高いスコアです。つまり、研究の質を評価する被引用数においても、韓国は日本よりパフォーマンスが良いと言えます。 日本の大学のランキングについてネガティブな話が続いてしまいましたが、当然良い面があります。TeachingとResearchはどこの大学も他国と比較して高スコアです。この2つは高等教育機関の基礎体力と言えます。去年インタビューした、中国、韓国、シンガポールのトップ大学の方々に日本の大学の評価を問うと、「日本の大学はランキングでは苦戦しているが、本来は高い実力がありレベルが非常に高い」というコメントを何度も聞きました。いまだに東アジアでは日本以外でノーベル賞を受賞した研究者はいませんし、基礎研究の底力はダントツで高いのだと思います。 問題は、その「本来の基礎体力」をいつまで維持できるかということだと思います。人間の基礎体力が年齢と共に落ちるように、大学も若返りや改革なしでは長期にわたって実力を維持していくことは難しいのではないでしょうか。近隣諸外国の事例を学んでいると、体力を維持するために、日本の大学がやれることはまだまだ山のようにあるように思います。 大学関係者の方々にお話を伺うと、「THEは欧米大学に有利に働いている」「このランキングは日本の大学の真の実力を反映していない」とのコメントをよく聞きます。前者は確かにその通りで、研究評価は英語をベースとしているので、英米大学が圧倒的に有利です。しかし後者については、本当にそうだろうか?と疑問に感じています。恐らく世界の基準からみた今の日本の大学の実力は、ランキングの通りなのではないかというのが、グローバル企業の視点から日本のアカデミアを眺めた時の私の率直な印象です。基礎体力はまだかろうじてあるが、疲弊し息切れしていて、好転させる画期的な策をまだ見出せていない状態なのではないかと感じます。 そんな中、学長がリーダーシップをふるい、必死で大学改革を行おうとしている日本の大学もいくつかあります。大変な時代にこそ必ず強いリーダーが現れるものですし、リーダーシップなしでこの困難を乗り切るのは難しいと感じます。これからの日本の大学にとって大きな起爆剤となる経営改革とはどんなものでしょうか?例えば、怖いものなしで働けるバリバリの40代学長が現れたり、旧帝大に外国人学長が就任したりといった、今までになかったラディカルな試みをする大学が出てくれば、一気に変わっていけるのではないかなどと考えてみたりもします。立命館アジア太平洋大学は、ライフネット生命の元社長である出口治明氏が学長に就任されるなど、面白い取り組みをされていますね。また学費が一律であった国立大学でも授業料を改定している機関があります。千葉大学は値上げ分で全学生を海外留学させるという目標を掲げています。巨大組織を動かすのは並大抵の事ではありませんし、中にいる方々には様々なご苦労があると思いますが、日本の大学は今まさに大きな変革を求められる時代にいるのだと思います。 このTHEランキングの動向分析記事は毎年この時期に掲載していきたいと思いますが、数年後の記事に、「日本が奇跡の復活」というタイトルの記事を書く日がくることを夢見て、弊社のような大学を支援する企業も、情報共有や具体的な支援を通じて、できる限りのことをしていきたいと思っています。
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弊社代表湯浅誠が、RA協議会第5回年次大会にて英国インパクト評価に関するセミナーを開催しました

カクタス・コミュニケーションズの代表、湯浅誠が9月20日に開催されたRA協議会第4回年次大会にて「THEランキングを急速に伸ばすアジアの大学に学ぶ国際化・研究広報の最新動向」を発表しました。 先日発表されたTimes Higher Education(THE)の世界大学ランキング2019を見ても明らかなように、世界における日本の大学は存在感を失いつつあります。一方で中国勢は初のアジア1位に輝き、これからもこの勢いは続くと思われます。そんな中、お隣韓国は一部非常にランクを上げている大学や、一度大幅なランクダウンを経験しながら数年で盛り返した大学もあります。この発表では、これらの大学がどのようにしてランクアップ・回復したのかを、具体例を交えてお話しました。欧米などの世界トップ大学をベンチマークしがちですが、韓国から学べる事がたくさんあるのではないでしょうか?今後は中国の大学にインタビューを取り、その詳細をご報告したいと思います。 湯浅が当日に発表致しました、プレゼン資料はこちら をご覧ください。
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