2020年4月16日

【誠のFACT】「研究支援サービス・パートナーシップ認定制度」は大学と民間企業の新たなコラボレーションの流れを生み出すか?

(湯浅 誠/カクタス・コミュニケーションズ株式会社 代表取締役)

 

カクタスの国際研究広報事業、Impact Science(以下、インパクトサイエンス)が、文部科学大臣が認定する「研究支援サービス・パートナーシップ認定制度」の研究支援サービスとして採択されました。

※文部科学省サイト「研究支援サービス・パートナーシップ認定制度」 認定企業一覧

今回認定を受けたインパクトサイエンスは、これまで私のブログでも何度か「研究プロモーションサービス」として紹介してきた弊社事業の新しいブランド名です。カクタスはこれまで英文校正・翻訳・論文投稿支援を扱う「エディテージ」で知られており、この事業をご存じでない方もたくさんいらっしゃるかと思います。インパクトサイエンスは、その名の通り研究成果のインパクトを最大化するため、新しい科学的発見や知識を世界に伝え普及させるためのサポートを行うサービスです。国境を越えた研究コミュニケーションを通して、国内外の研究者や政府、企業、市民などの幅広いステークホルダーを繋ぎ、学際的なイノベーションの創出をサポートしています。

カクタスの日本法人では、2013年に始動したサイエンストークスを皮切りに、科学コミュニケーション活動を細々と行ってきました。サイエンストークスは、研究に関わる全ての人が立場や所属先に関係なく、日本の研究を一緒に盛り上げるために、共に活動をしていくフォーラムです。この活動を通じて私たちを知った方々が科学コミュニケーションの面白さと価値を感じてくださって、2015年ぐらいから「研究プロモーション動画を作りたいのだけれど…」「ジャーナルのホームページ制作をお願いできないか?」「英語プレスリリースの執筆も対応していますか?」といったご相談をいただくようになりました。

研究の国際化が急速に進み、大学が国際的認知度とレピュテーションを強く意識し始める中、もしかしたら今後研究情報を海外に発信するニーズがどんどん強まるのではないか?その風を受けて、私たちは2017年から研究コミュニケーション事業を新しく開始し、2019年には本社に各研究分野サイエンスライターとクリエイターを抱える専属チームを立ち上げ、インパクトサイエンスというブランドとしてリニューアルました。現在では、ヨーロッパ、日本、中国、韓国において、学術出版社・ジャーナル、大学・研究機関などのお客様にサービスをご提供しています。

そんな折に開始された今回の文部科学省による「研究支援サービス・パートナーシップ認定制度」の募集、まさにタイミングが絶妙でした。エディテージとしては研究支援の18年の実績がありますが、インパクトサイエンスは立ち上げから間もないブランド。実績は当然少ないものの、これまでの活動で積み上げてきた経験値と、私たちの企業としての姿勢、そして今まさに高まる大学のニーズを考えれば、確実にプロフェッショナルな研究支援をご提供できると判断して、認定に応募することにしました。

昨年度に入社してくれたスタッフの中に、以前に大学職員として活躍していた、いわゆる書類作成のコツを熟知している経験者がいたこともあり、これもまた幸運に恵まれました。「天は自ら助くる者を助く」ということわざがありますが、この数年、もがきながらも色々な事に挑戦し、お客様から「こんなことをやりたいので手伝って欲しい」と相談が来れば、新しい分野の依頼でもサポートする方法を考え、走りながら考えるスタイルで新事業を運営してきました。昨年度の初旬には、まだ売上もままならない状態でしたが、私たちがやっていることには必ず将来ニーズがあると強く信じて、思い切って日本と本社でチームを立ち上げました。あの時の判断は正しかった、とようやく思えるようになりました。

この場を借りて、このような認定制度を開始してくださった文部科学省の関係者の皆様にお礼申し上げます。とりわけ日本ではこれまで、国の機関が特定の民間企業を認定することに少なからず抵抗があったと思います。常日頃から民間企業として国立大学に出入りしていますと、しばしば「国の機関は民間に対して公平であるべき」という考えが深く根付いていて、自社の実績や品質、サービスにかける思いが評価の対象にならないことがしばしばありました。一生懸命契約を詰めたプロジェクトでも、公平性を保つためと最後に複数企業との共同になるケースや、料金のみで評価されるケースが非常に多いことを痛感しておりました。文部科学省認定ロゴを使わせてもらう事がどれほど重みのある事か、これはアカデミアの周辺で20年近く従事している私達には身に染みて感じることです。

そしてこの認定制度を通じて他の企業さん達と新しい交流やコラボ、協業が活発に行われていく事を楽しみにしています。認定を受けた企業のリストを拝見すると、既にこの業界で交流のある企業さん達がいくつかあります。まだやりとりのない企業名もありますが、この制度が何年も続けばたくさんの研究支援系の企業の方々と知り合いになれますし、お互いのノウハウを共有し合うことで、日本のアカデミアを下支えするもっともっとイノベーティブな支援を展開することができるのではないかと思います。日本の科学技術振興のために、民間企業が大学と一緒にできることは無限にあるはずです。

今は、政府、大学・研究機関、研究者、民間企業が立場の垣根を超えて知恵を振り絞り、最善の活動を行っていくことが重要だと思います。今回、文部科学省で始まったこの認定制度という面白い試みが新しい流れを作り、「やはりこの認定制度を開始して良かった。研究を支援する新しいサービスや製品がどんどん生まれてきたね」と思ってもらえるように、私たちもチームの皆さんと共に頑張っていきたいと思います。

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