カクタス・コミュニケーションズは「報酬」「学び」「意義」へのフォーカスで、いかにして信頼できるフリーランスの人材プールを構築しているか

ブランディング部門シニアマネージングエディター アンセルモ・マートレス   今世紀に入るまで、ホワイトカラーの仕事は旧来の雇用形態が主流でした。一つの会社に契約で縛られ、労働時間が決まっていて、自分の役割や責任範囲も明確に定められていました。独立した仕事という概念は、鉱山労働者や建設作業員などのブルーカラーだけのものでした。 しかし2000年代になると、デジタルプラットフォームのおかげで、顧客とサービス提供者が直接顔を合わせなくても容易に交流できるようになってきました。テクノロジーがもたらす柔軟性によって、個人で仕事をする人が増えました。 マッキンゼーが2016年に発表した報告書によると、欧米では最大1億6千2百万人、すなわち労働年齢人口の20~30%が何らかの形で独立した仕事に従事しています1。 カクタス・コミュニケーションズ(以下カクタス)は2010年、学術論文の翻訳や英文校正、投稿支援といったサービスを提供する主力ブランド「エディテージ」の校正者基盤を構築するためにフリーランスモデルを採用しました。それ以前は、社内の校正者やレビュアーの人材プールに頼っていました。 エディテージは医学、バイオテクノロジー、工学、物理学、社会学、ビジネスなど多様な分野の原稿を執筆する研究者の皆様を対象としているため、各分野の専門知識を備えた校正者が必要でした。そこでカクタスは、大きく網を張って世界中から人材を集めることにしました。 エディテージの最高執行責任者兼代表のヴィカス・ナランは「さまざまなタイムゾーンにお客様がいらっしゃるので、グローバルなフリーランスの人材プールの活用により、業務を拡大し、必要とされる時にいつでもサービスを提供できるようになりました。現在では、約90カ国3千人以上のフリーランス校正者が、50万人を超えるエディテージのお客様に英文校正・翻訳サービスをほぼ年中無休で提供しています」と語ります。 こうしたインディペンデント・ワーカー(独立労働者)は、カクタスが「エディテージ」ブランドで提供する、英文校正や翻訳、投稿支援のサービスに欠かせない存在です。 信頼できるフリーランスの人材プールを構築し続けるためには、組織が彼らに「投資」する必要があるとヴィカスは考えています。カクタスは数年前、フリーランスに最も好まれる組織を目指し「Freelancer for Life」という一連の取り組みを開始しました。これらの取り組みを初期段階に監督したヴィカスは、「Freelancer for Life」の目的はフリーランス生活における3つの重要な側面、「報酬」「学び」「意義」に付加価値を与えることだと説明します。 報酬 フリーランスは、一つの事にすべてを賭けないという選択もできますが、一つの組織でフリーランスとして働くことにもいくつかの利点があります。校正のような、多くの知力を必要とする作業をしている場合は特にそうです。 カクタスでは、フリーランスの方々が毎月の収入目標を達成できるように、お客様から高評価を受け取った場合や、一定の語数を時間内にこなした場合など、いくつかの基準を満たすとポイントが授与されるシステムを導入しました。 カクタスでフリーランスとして仕事をする方々が収入を多く得られるようにすることが狙いです。このシステムにより、パフォーマンスの高い方は努力が報いられ、さらなるやる気が引き出されるので、より多くの報酬を得ることができます。 学び カクタスでは、フリーランスの満足度調査を毎年実施し、フリーランスのマネジメント、コミュニケーションチャネル、報酬などの面で強みや改善すべき点を明らかにしています。「このような調査から、フリーランスの方々は常にスキルアップの機会を求めていることがわかっています。当社には、そうした意見を真摯に受け止め、フリーランスの方々が参照できるwikiリソースを作成するチームがあります」とヴィカスは言い、フリーランスコミュニティマネジメントチームとスキル&ナレッジマネジメントチームがセンター・オブ・エクセレンス(専門分野別のチームに分かれたフリーランス校正者の拠点)と共同でフリーランス校正者・レビュアー向けリソースを開発している例を挙げています。 例えば、フリーランスコミュニティマネジメントチームは、お客様とのコミュニケーション、肯定的なフィードバックの獲得、生産性の向上に関するヒントなど、校正者向けの記事を毎月公開しています。 センター・オブ・エクセレンスの中には、これらの取り組みを補完する独自のニュースレターを発行しているチームもあり、各自の分野に合わせた情報を提供しています。 意義 「意義」という面に関するカクタスの取り組みについて、ヴィカスはこう説明します。「ほとんどの組織は、フリーランスの方々と取引関係にあります。フリーランスがサービスを提供し、組織が報酬を支払う。このような関係の利点はすぐに失われてしまいます。フリーランスの方々はその働き方ならではの独立性を好む一方、取引関係を超えた交流を求めているのです」 建設的な関係を維持することは極めて重要であるものの、報酬、品質、お客様からのフィードバック、オペレーションなどの要素が関係してくると一筋縄ではいかないとヴィカスは感じています。非常に多くのフリーランスを抱える中では、苦情への対応や問い合わせへの回答を迅速に行うことが難しくなります。 この課題に対処するため、カクタスにはフリーランスのエンゲージメントや苦情処理を専門とするチームが存在しており、フリーランスの方々にコミュニティニュースレターへの投稿を呼びかけ、苦情や問い合わせに迅速に対応しています。さらに、投稿はニュースレターのほか、フリーランス全員が利用できるダッシュボードを通じて閲覧されます。 また、カクタスでは、フリーランスの方々が新しいシステムやプロセスのテストに参加しています。昨年、カクタスはフリーランス校正者向けのワークフロー管理アプリを発表し、そのベータテストにもフリーランスの方々に参加していただきました。このような活動は意義のあることに貢献している感覚を促すと、ヴィカスは考えています。 カクタスでは、フリーランスの方々に刺激とやりがいを感じながら仕事をしていただくための取り組みを他にもいくつか行っています。例えば、ジャーナルの投稿規定に合わせたフォーマット調整など機械的な作業をテクノロジーで代替する方法を模索したり、不公平な判断を減らしてこれまで以上にインセンティブ・ドリブンな企業になれるよう評価システムを微調整したりしています。こうした取り組みはフリーランスの方々からのフィードバックを反映した結果であるとヴィカスは明かし、「私たちはフリーランス用システムの改善を絶えず行っており、利用者の反応を見る限り、正しい方向に進んでいるようです」と述べています。   参考資料: https://www.mckinsey.com/featured-insights/employment-and-growth/independent-work-choice-necessity-and-the-gig-economy
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カクタス・コミュニケーションズが取り組む、AIの手助けを借りた従業員エンゲージメントの向上

パンデミックの影響で多くの組織がリモート化を余儀なくされる中、組織の人事部は従業員とのエンゲージメントという課題に直面しています。テクノロジー企業であるカクタス・コミュニケーションズ(以下カクタス)は、この課題に対処するべくAIチャットボット「Amber」を採用しました。 ブランディング部門シニアマネージングエディター アンセルモ・マートレス   「こんにちは、シェファリさん!Amberです。カクタスで過ごされたこれまでの8年間について、少しお話を聞かせてください。」 カクタスのプリセールスチームでアソシエイトディレクターを務めるシェファリ・スンデラン=ハルシャは、このメッセージをAmberから受け取った時、職場での幸福度に関するアンケートだろうと思いました。「以前にもこうしたアンケートに答えたことがあったので、一般的な質問を予想していました。上司に満足しているか、フィードバックを受けているか、仕事において十分な機会を得ていると思うか、といった質問です。しかしAmberは非常に鋭い洞察力を持ち、的を射た質問をしてきました」 Amberの口調は、まるで自分を気にかけてくれている人事担当者のようですが、実は「彼女」はAIを活用した従業員エンゲージメント・チャットボットです。 2019年初頭、カクタスでは1000人以上の従業員に働きかける人事チームの努力を補うツールが検討され始めていました。カクタスのビジネスパートナーおよび人事オペレーション部門のアソシエイトディレクター、アロカ・パルレカーは「当社のようなペースで従業員数が増加すると、人事チームはいずれ従業員一人一人とつながりを持つことが難しくなってしまうと気づきました。有意義な洞察を得、適切な意見に基づきリアルタイムで行動できるようになるスケーラブルなソリューションを見つけなければなりませんでした」と話します。 カスタマイズ可能で、使いやすく(つまり導入しやすく)、リアルタイムでのデータ収集といった、カクタスの人事部が求める要件をAmberはすべて満たしていました。導入が確定したのは、パンデミックが大きく報道され始めた頃です。本社であり従業員数が最も多いムンバイオフィスを含め、グローバルオフィスを在宅勤務モデルに移行するとカクタスが決定したことで、このようなツールの必要性がより一層増したのです。 人事部は当初、Amberの全社導入に懐疑的でした。従業員は上司や人事担当者と顔を合わせて問題を話し合うことに慣れていたからです。 そこで3カ月間、2つのビジネスユニットでAmberの試験運用を行った結果、試験段階で60%の採用率という心強い反応を得られました。その後、インドの全従業員へのAmber提供を決めると、わずか3カ月で69%の採用率に達しました。2021年1月の時点でAmberは8つのグローバルオフィスで97%以上のカクティズン(カクタス従業員)に働きかけ、約1500件のインタラクションを開始し、1050件以上のレスポンスを得ています(レスポンス率:70%)。 Amberの最大のUSP(独自の強み)は、従業員の秘密を厳守する点にあります。データやレスポンスを見ることができるのはそれぞれのHRビジネスパートナーだけであるとアロカは説明しています。チャット開始時に信頼ステートメントを表示し、誰が会話を閲覧できるのかを知らせるので、従業員が率直かつ積極的に話せる確かな場がつくり出されます。 出典:InFeedo.com 詳細なフィードバックがある場合は、まずHRビジネスパートナーが従業員と話し合い、当人の承認を得てから、他者との情報共有を伴う次の段階へと進みます。また、従業員は匿名でチャットすることも可能です。その場合、ニューヨークに拠点を置くAmberの開発企業、InFeedoでさえ、回答者が誰であるかを知ることはできません。 現在Amberは、(入社日から)15日目、30日目、45日目、90日目、6カ月目、1年目、その後は1年ごと、という形で在職期間の節目を基準にインタラクションを開始しています。それぞれの節目に、職場への溶け込み具合、ワークライフバランス、キャリア開発、パフォーマンス、上司など、あらかじめ設定された項目について、その節目到達に適した質問をします。 Amberのおかげで、カクタスの人事部はより効率良く従業員へ働きかけることができるようになりました。在職期間中の重要な節目ごとに人々の気分や意向を把握するための信頼できるスケーラブルなソリューションが提供される上に、ダッシュボード上で採用率やエンゲージメントスコア、ネットプロモータースコアなどに関連する分析結果をHRビジネスパートナーが閲覧することもできるのです。 出典:InFeedoのマーケティング資料 さらにAmberは、離職リスクや不満のある従業員(緊急性の高い調査を要するケース)に注意を向けるのにも役立つので、HRビジネスパートナーはより迅速なリテンションインテリジェンスを得られます。「私たちはカクティズン全員にきちんと気を配りたいと思っていますが、一対一の交流によって問題を発見するのはほぼ不可能です。Amberを使えば、より迅速に従業員の雰囲気を把握し、注意を払う必要のある人々を特定することができます」とアロカは言います。 カクタスの最高人事責任者、ヤシュミ・プジャラはAmberのもたらす影響について「カクタスの人事部の任務は常に、カクティズンを最優先することです。私たちは長年にわたり、そしてこのパンデミックの一年は特に、カクティズンのメンタルヘルスや一般的なウェルビーイングに取り組むためにいくつかの対策を講じており、そうした対策のスケールアップだけはAmberに手助けしてもらえました。コンテストや体験談を通じて、チャットボットの認知度や信頼度の向上に努めています。カクティズンには、Amberが収集したデータは従業員をサポートするためだけに使用され、けっして従業員を評価するためのものではないことを知ってもらいたいと思います」と述べています。 Amberはこれまでに50カ国以上でメディア、銀行、サービス、ヘルスケア、FMCG(日用消費財)などさまざまな業界の100以上の組織に導入されています。 inFeedoの創業者でCEOのタンマヤ・ジェインは「何百万人もの従業員が、一日の仕事を始めることに無意識に抵抗を感じるようになっています。心配事を聞いて心に留め、優先順位をつけてくれる友人が職場に必要であるのは間違いありません。Amberはそうした職場の友であり、タタ・グループ、GEヘルスケア、レノボ、バーティ・エアテル、AXA、ITC、OYOなどの企業で30万人以上の従業員に話しかけ、経営幹部が従業員の意見を理解してリアルタイムに行動できるよう助けています」と語っています。 Infeedoはカクタスと提携し、最近共同開発した新たな拡張機能を公開しています。これらの拡張機能は従業員の進歩を促すと共に、従業員の意向についてさらに深い洞察を与えてくれるでしょう。
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