2021年4月20日

カクタス・コミュニケーションズは「報酬」「学び」「意義」へのフォーカスで、いかにして信頼できるフリーランスの人材プールを構築しているか

ブランディング部門シニアマネージングエディター アンセルモ・マートレス

 

今世紀に入るまで、ホワイトカラーの仕事は旧来の雇用形態が主流でした。一つの会社に契約で縛られ、労働時間が決まっていて、自分の役割や責任範囲も明確に定められていました。独立した仕事という概念は、鉱山労働者や建設作業員などのブルーカラーだけのものでした。

しかし2000年代になると、デジタルプラットフォームのおかげで、顧客とサービス提供者が直接顔を合わせなくても容易に交流できるようになってきました。テクノロジーがもたらす柔軟性によって、個人で仕事をする人が増えました。

マッキンゼーが2016年に発表した報告書によると、欧米では最大1億6千2百万人、すなわち労働年齢人口の20~30%が何らかの形で独立した仕事に従事しています1

カクタス・コミュニケーションズ(以下カクタス)は2010年、学術論文の翻訳や英文校正、投稿支援といったサービスを提供する主力ブランド「エディテージ」の校正者基盤を構築するためにフリーランスモデルを採用しました。それ以前は、社内の校正者やレビュアーの人材プールに頼っていました。

エディテージは医学、バイオテクノロジー、工学、物理学、社会学、ビジネスなど多様な分野の原稿を執筆する研究者の皆様を対象としているため、各分野の専門知識を備えた校正者が必要でした。そこでカクタスは、大きく網を張って世界中から人材を集めることにしました。

エディテージの最高執行責任者兼代表のヴィカス・ナランは「さまざまなタイムゾーンにお客様がいらっしゃるので、グローバルなフリーランスの人材プールの活用により、業務を拡大し、必要とされる時にいつでもサービスを提供できるようになりました。現在では、約90カ国3千人以上のフリーランス校正者が、50万人を超えるエディテージのお客様に英文校正・翻訳サービスをほぼ年中無休で提供しています」と語ります。

こうしたインディペンデント・ワーカー(独立労働者)は、カクタスが「エディテージ」ブランドで提供する、英文校正や翻訳、投稿支援のサービスに欠かせない存在です。

信頼できるフリーランスの人材プールを構築し続けるためには、組織が彼らに「投資」する必要があるとヴィカスは考えています。カクタスは数年前、フリーランスに最も好まれる組織を目指し「Freelancer for Life」という一連の取り組みを開始しました。これらの取り組みを初期段階に監督したヴィカスは、「Freelancer for Life」の目的はフリーランス生活における3つの重要な側面、「報酬」「学び」「意義」に付加価値を与えることだと説明します。

報酬

フリーランスは、一つの事にすべてを賭けないという選択もできますが、一つの組織でフリーランスとして働くことにもいくつかの利点があります。校正のような、多くの知力を必要とする作業をしている場合は特にそうです。

カクタスでは、フリーランスの方々が毎月の収入目標を達成できるように、お客様から高評価を受け取った場合や、一定の語数を時間内にこなした場合など、いくつかの基準を満たすとポイントが授与されるシステムを導入しました。

カクタスでフリーランスとして仕事をする方々が収入を多く得られるようにすることが狙いです。このシステムにより、パフォーマンスの高い方は努力が報いられ、さらなるやる気が引き出されるので、より多くの報酬を得ることができます。

学び

カクタスでは、フリーランスの満足度調査を毎年実施し、フリーランスのマネジメント、コミュニケーションチャネル、報酬などの面で強みや改善すべき点を明らかにしています。「このような調査から、フリーランスの方々は常にスキルアップの機会を求めていることがわかっています。当社には、そうした意見を真摯に受け止め、フリーランスの方々が参照できるwikiリソースを作成するチームがあります」とヴィカスは言い、フリーランスコミュニティマネジメントチームとスキル&ナレッジマネジメントチームがセンター・オブ・エクセレンス(専門分野別のチームに分かれたフリーランス校正者の拠点)と共同でフリーランス校正者・レビュアー向けリソースを開発している例を挙げています。

例えば、フリーランスコミュニティマネジメントチームは、お客様とのコミュニケーション、肯定的なフィードバックの獲得、生産性の向上に関するヒントなど、校正者向けの記事を毎月公開しています。

センター・オブ・エクセレンスの中には、これらの取り組みを補完する独自のニュースレターを発行しているチームもあり、各自の分野に合わせた情報を提供しています。

意義

「意義」という面に関するカクタスの取り組みについて、ヴィカスはこう説明します。「ほとんどの組織は、フリーランスの方々と取引関係にあります。フリーランスがサービスを提供し、組織が報酬を支払う。このような関係の利点はすぐに失われてしまいます。フリーランスの方々はその働き方ならではの独立性を好む一方、取引関係を超えた交流を求めているのです」

建設的な関係を維持することは極めて重要であるものの、報酬、品質、お客様からのフィードバック、オペレーションなどの要素が関係してくると一筋縄ではいかないとヴィカスは感じています。非常に多くのフリーランスを抱える中では、苦情への対応や問い合わせへの回答を迅速に行うことが難しくなります。

この課題に対処するため、カクタスにはフリーランスのエンゲージメントや苦情処理を専門とするチームが存在しており、フリーランスの方々にコミュニティニュースレターへの投稿を呼びかけ、苦情や問い合わせに迅速に対応しています。さらに、投稿はニュースレターのほか、フリーランス全員が利用できるダッシュボードを通じて閲覧されます。

また、カクタスでは、フリーランスの方々が新しいシステムやプロセスのテストに参加しています。昨年、カクタスはフリーランス校正者向けのワークフロー管理アプリを発表し、そのベータテストにもフリーランスの方々に参加していただきました。このような活動は意義のあることに貢献している感覚を促すと、ヴィカスは考えています。

カクタスでは、フリーランスの方々に刺激とやりがいを感じながら仕事をしていただくための取り組みを他にもいくつか行っています。例えば、ジャーナルの投稿規定に合わせたフォーマット調整など機械的な作業をテクノロジーで代替する方法を模索したり、不公平な判断を減らしてこれまで以上にインセンティブ・ドリブンな企業になれるよう評価システムを微調整したりしています。こうした取り組みはフリーランスの方々からのフィードバックを反映した結果であるとヴィカスは明かし、「私たちはフリーランス用システムの改善を絶えず行っており、利用者の反応を見る限り、正しい方向に進んでいるようです」と述べています。

 

参考資料:

  1. https://www.mckinsey.com/featured-insights/employment-and-growth/independent-work-choice-necessity-and-the-gig-economy

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