2021年4月7日
「Customer for Life」で生み出す、カクタス・コミュニケーションズの新たなカスタマー・オブセッション
お客様に喜んでいただくことにこだわり続けてきたカクタスにとって、顧客第一主義の理念に新たな息吹を吹き込むことは難しいことでした。しかし、Customer for Lifeの下でまさにそれが実現されました。
──ブランディング部門シニアマネージングエディター、アンセルモ・マートレス
2018年、カクタス・コミュニケーションズ(以下カクタス)のムンバイ本社移転時、カクティズン(カクタス社員)を迎えた新社屋の壁には、主に優れたカスタマーサービスに関するさまざまな格言が書かれていました。「お客様が求めるもの、それ以上のものを提供しよう」という言葉もあれば、「どれだけお客様のことを考えているかを知って初めて、お客様はあなたがどれだけのことを知っているかについて考えてくれる」という助言もありました。
2002年の創業時から、顧客第一主義はカクタスの重要な柱です。55万人の顧客基盤を持つ主力ブランドのエディテージでは満足保証制度を設けており、研究者の皆様に万が一、サービスにご満足いただけなかった場合、無料の修正対応、または全額返金をお約束しています。また、2020年に導入したカクタスの新しい行動指針「The CACTUS Way」の策定時、ワーキンググループは、長年にわたるお客様への取り組みを集約した以下の指針が必ず含まれるようにしました。
お客様を成功に導く。そのために、
自らできることの限界を超える。
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飲食業界や小売業界、航空業界で12年以上のカスタマーサービスの経験を持つルビーナ・パーカーがカクタスに入社したのは2017年のことです。品質およびカスタマーエクスペリエンスを担当する小規模チームの責任者として、カクタスにおける顧客中心の活動のスケールアップを任されました。
品質およびカスタマーエクスペリエンス部門のヴァイスプレジデント、ルビーナ・パーカー。Customer for Lifeの取り組みを推進する。
「任務は明白でした。新規で獲得したお客様を、カクタスの伝道師に変えることです」とルビーナは言います。「ご注文番号や顧客コードの向こう側にいる実際のお客様を認識したいと、私たちは考えました。お客様の願望や動機、感情について知りたい、と。お客様の信用を得ることは大切ですから、ぜひとも信頼できる相談相手になりたかったのです」
この目的が明確になると、ルビーナは改善を要する領域を把握し始めます。最初の課題は、あらゆる取り組みを一つの傘の下に収めることでした。
「カクタスではこれまで18年以上にわたり、お客様対応の取り組みをいくつか実施してきました。どの部署にも顧客中心の目標がありましたが、各部署内だけで目標に取り組んでいました。それぞれを結びつけ、そのリソースを有効利用することが重要でした」とルビーナは語ります。
こうして生まれたのが「Customer for Life」です。Customer for Lifeでは、マーケティングやオペレーション、カスタマーサービス、テクノロジーといった部署のサポートを受けながら、一つのチームが顧客中心の取り組みすべてを明確にし、統括します。
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カクタスでは創業以来、顧客中心の考え方を全従業員に浸透させ、お客様へのコミットメントを常に意識させてきました。新入社員にはオリエンテーションプログラム「Genesis」でカクタスの顧客第一主義を教えています。けれどもルビーナとチームは、カクティズンがCustomer for Lifeに楽しさを感じられるようにしたいと考えました。
そこでチームは、お客様を見守るカクティズン一人一人を象徴するスーパーヒーロー、ヒロインのマスコット「キャプテン・カクタス」を登場させました。Customer for Lifeはマーケティング・キャンペーンとして始動し、部門会議で話し合われ、アイスブレイクで紹介され、カクティズン全員にメールで通知されました。ルビーナはまた、変化に影響を与えることができる人々とお客様の声を共有する一連の会議「Voice of Client」をスタートさせました。
Customer for Lifeチームがアウトリーチ活動の一環として登場させたマスコット、キャプテン・カクタス。
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Customer for Lifeを支えるコアチームは、ビッグデータとテクノロジーを非常に頼りにしています。過去4年間にエディテージのお客様から寄せられた約1万5千件のご意見を調査し、一部の市場でご不満のあった決済処理サービスの変更から、ご満足いただけなかったお客様のための再チェックの迅速化まで、いくつかの対策を成功させました。
「AIや機械学習などの技術を社内で利用できるので、私たちはデータ収集やお客様のニーズ調査、カスタマーエクスペリエンスの向上に新しい技術を活用する方法を探っています」とルビーナは話します。「当社は世界中で55万人を超えるお客様にサービスを提供していますが、求めるものはお一人お一人違います。私たちの目標は、それぞれのニーズを十分に満たし、他にはないカスタマーエクスペリエンスを提供することです」
Customer for Lifeをこの規模で実現できたのは、アビシェック・ゴエル(カクタスの共同創業者でCEO)とヴィカス・ナラン(エディテージの最高執行責任者兼代表)の支援のおかげだとルビーナは打ち明けています。
アビシェック・ゴエルはかつて日本に滞在中、「お客様に喜んでいただく」という優れたカスタマーサービスの忠実な支持者になりました。カクタスの共同創業時にはカスタマーサービス部門(後にカスタマーディライト部門に改称)の設立を自ら監督し、初期の従業員に顧客第一主義を教えることに尽力しました。
ヴィカス・ナランは2014年から2015年までアマゾンに勤務し、同社の定評あるカスタマー・オブセッションに精通するようになりました。お客様の声を優先させるカクタスとアマゾン両社のやり方に多くの類似点を見出したヴィカスは、顧客に対するカクタスのコミットメントに魅力を感じ、入社を決意するに至ったと話しています。
アビシェックとヴィカスはCustomer for Lifeを社内の最重要課題に据え、職場文化に不可欠なものになるまでアドバイスやサポートを提供しました。
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Customer for Lifeの活動の規模を考えると、もっと現場に目を向け、声を聴くことが大切だというルビーナの考えにより、Customer for Lifeの推進を助ける「アンバサダー」の任命も開始されています。「任命されたカクティズンには、お客様の成功事例の特定や各チームにおけるお客様への意識の向上、懸念事項への注意喚起を手伝ってもらいます。ビジネスの手段やタッチポイントが異なる多様なアンバサダーを採用することで、私たちはカスタマーエクスペリエンスに対しいろいろな視点を持ち、より創造的なソリューションを提供することができるでしょう」とルビーナは述べています。