2021年6月17日

学術誌のWeChatでの影響力世界ランキング発表

環球科学』(『Scientific American』の中国語版)が運営する学術コミュニケーションサービスプラットフォーム領研網(www.linkresearcher.com)と、カクタス・コミュニケーションズ(以下カクタス)の科学コミュニケーションブランドImpact Scienceは、新しいメディアにおける学術誌の影響力を示すランキングを共同で発表しました。

本ランキングでは、2021年第1四半期に中国の大手SNS「WeChat(微信)」で大きな広まり具合を見せた、世界で最も卓越した学術誌500誌と最も影響力の強い出版ブランド50がリストアップされており、化学、材料、エネルギー・環境、医学、生物学、農学、林学、植物学、生態学など、研究の盛んな分野における各誌の伝播力を深く知ることができます。順位の決定は、同年1~3月にWeChatに投稿された約7万件の記事にセマンティックマイニングを実施し、タイトルから1200誌以上の中国国内外の学術誌を個別に抽出した上で、記事の閲覧数を基に行われました。

上位10誌はいずれも権威のある著名な国際学術誌です。また、上位100誌のうち、昨年と比較して特に大きく順位が上昇したのは、『The Innovation』(50位上昇)『Nature Genetics』(41位上昇)『Cell Stem Cell』(32位上昇)『The Journal of the American Medical Association(JAMA)』(29位上昇)『The ISME Journal』(23位上昇)の5誌でした。

『環球科学』の発行人、リウ・ファン氏は「私たちが運営する学術ニューメディアプラットフォームは、急速な変化の時期にあります。より良い情報サービスを中国の研究者に提供するだけでなく、国際的な学術動向や中国における科学研究の趨勢に関する貴重な視点を提示しています」と語っています。

カクタスの大中華圏部門ゼネラルマネージャー、クリスティーン・フーは「どんな研究でも、インパクトをもたらすには、対象とする人々のリーチと範囲を最大化することが不可欠です。WeChatが国際的な出版社から中国の読者にリーチする新たなコミュニケーションチャンネルとして認められていること、さらに、学術研究の情報発信源として新しいメディアの信頼性が高まり、研究を世界に広めるという当社の理念が推進されることをうれしく思います」と話しています。

1. 国際学術誌のWeChatでの影響力トップ500

2021年第1四半期、WeChatの公式プラットフォームで最も影響力の強かった学術誌500誌は、1万4000件以上の記事で取り上げられ、2183万件ものリーチを得ました。中でも大きな影響力を発揮した上位10誌は、5000件以上の記事と1580万件以上のリーチを獲得し、全体の70%を占めています。すべて知名度の高い一流国際誌で、内訳は『ネイチャー』『サイエンス』『ネイチャー・コミュニケーションズ』『米国科学アカデミー紀要』の総合誌4誌、『Journal of the American Chemical Society(米国化学会誌)』『Angewandte Chemie International Edition』『Advanced Materials』の化学・材料・エネルギー・環境分野3誌、『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』『ランセット』の医学誌2誌、生物学誌『セル』。

|500誌のうち中国誌は27%、中国で「最も権威のある」3誌は世界ランク17位、22位、25位

今回トップ500に入った中国の学術誌は合計137誌で、全体の約27%を占めています。そのうちの上位3誌は、『Molecular Plant』(17位)『The Innovation』(22位)『Horticulture Research』(25位)です。

100位以内に入ったのは、この3誌を含めて22誌でした。全体的に見て、中国誌は各順位帯に比較的均等に分かれ、最も多い201~300位には35誌がランクインしています。

本ランキングでは、中国国内外の学術誌のWeChatプラットフォームでの広まり具合を四半期および年単位で動的に追跡します。最も伝播力のある学術誌を定期的に把握することで、学術誌の社会的影響力を評価するための新たな基準点を提供します。

2. WeChatで最も影響力の強い学術出版ブランドトップ50

上記の500誌を発行するのは、中国国内外計68の学術出版ブランドです。各出版ブランドの学術誌に関するWeChatプラットフォームでの情報流通量の測定により、2021年第1四半期にWeChatで最も影響力の強かった出版ブランドトップ50が決定しました。上位10ブランドは、ネイチャー・ポートフォリオ、米国科学振興協会、ワイリー、セルプレス、米国化学会、エルゼビア、ランセット、ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン、オックスフォード大学出版局、シュプリンガーです。ランキング入りした学術誌の数が最も多かったのはエルゼビアで、75誌に上りました。中国国内の出版ブランドも影響力の強さを示し、19ブランドがトップ50入りしています。そのうち上位20ブランドに入っているのは、KeAi Publishing(科愛出版)、China Science Publishing & Media(科学出版社)、Power System Technology(『電網技術』雑誌社)、Science in China Press(『中国科学』雑誌社)、Light Publishing Group(Light学術出版センター)です。

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|分野ごとに異なる出版ブランドが影響力を発揮

大手出版ブランドは学術分野ごとの影響力の強さに違いが見られます。WeChatで最も活発に情報発信されている「化学・材料・エネルギー・環境」「医学」「生物学」「農学・林学・植物学・生態学」の4分野において、最も広められた出版ブランドはそれぞれ、ワイリー(30.24%)、ランセット(35.1%)、セルプレス(71.05%)、ワイリー(27.97%)でした。

このうち、生物学分野では出版ブランドごとの影響力の差が最も大きく、セルプレスが全体の71.05%を占める圧倒的な影響力を示しています。一方、化学・材料・エネルギー・環境の分野では、ワイリー(30.24%)、米国化学会(29.25%)、ネイチャー・ポートフォリオ(25.51%)の3ブランドが拮抗しています。しかし分野を細分化して分析すると、それぞれが異なる役割を果たしていることがわかりました。ワイリーは材料科学分野に、米国化学会は総合化学、ナノ、環境の分野に、ネイチャー・ポートフォリオはエネルギーや触媒の分野に強みがあります。

領研網は2020年末、「領研網学術公式アカウントデータベース」に収集されたデータの分析とマイニングに基づき、同年第4四半期における学術誌のWeChatでの影響力を示す、2つのリストから成る世界ランキングを初めて発表しました。2021年はImpact Scienceと提携したことで、プロの力で研究を世界に広めるという同ブランドの理念と連動し、焦点を拡大し続け、中国の研究者や一般社会に対する学術出版や学術コミュニケーション、科学研究の影響を探究していきます。

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